「……あぁ、はい。少々お待ちください」

「……えぇと、前回の結果は……」

「……」

「え？　なになに？　何かはじまるの？」

「……」

「あっ、ありました」

「では、……コホン」

「で……でーんでっでれ、でっ……あれ？　ででーんでれ……」

「そこは真似せずともよいのではないか」

「……」

「失礼しました。へびみこのへや、セカンドシーズン開始したいと思います」

「えー……」

「本日は上銜さんが予定の時刻に間に合わないとの事で……」

「私、夢路が進行を務めさせていただきます。よろしくお願いします」

「……」

「こちらの方は虎さんです。メルンテーゼでは私の妖怪という立ち位置でした」

「紹介などしなくていい」

「僅か二回目からこの有様とは、この企画の主は何を考えている？」

「えぇ、まぁ、自由な方なのでしょう」

「確かに！」

「大変申し訳ないと思っている」

「では、まずはですね……この企画の表題となっていますへびみこのへやですが……」

「<へびみこ>とはなんなのか？　という点から説明させて頂きますと」

「ほう」

「<蛇蠱>と書いて<へびみこ>と読みまして、その蛇蠱と呼ばれるものに属する血筋の方々がですね」

「誰かに恨みの念を抱くことで対象の身体に蛇の霊を取り憑かせて食い殺すというものでして」

「やるじゃん」

「上銜さんの家系はその蛇蠱の力を利用して呪術師を営んでいたそうですが」

「私達の知る上銜さん……つまり、上銜月緒さんは蛇の妖怪ですので、上銜の血筋が利用する蛇の霊にあたる……」

「待て」

「はい」

「それはお前が説明する事なのか？」

「この企画……メルンテーゼの頃にもやっていたはずなのですが」

「今までこうした根本的な部分に触れたことがありませんので、これを機に疑問に思っている方々のために多少調べてきました」

「奴自身の怠慢をわざわざ拭ってやる必要などないだろう」

「そうでしょうか？　そうなのかもしれませんね。では次へ移りましょう」

「音羽りこです」

「少し速いですよ。次は、ゲストの紹介をさせて頂きます」

「音羽りこです！！！」

「音羽りこさんです。メルンテーゼの頃に私とは共にパーティを組んでいただきました」

「音羽りこです！！！」

「はい。度重なる自己紹介ありがとうございます」

「音羽りこです！！！」

「しつこいぞ」

「それにしてもお久しぶりですね。最近の調子はいかがですか？」

「まぁまぁかな！　私の中の人にもう使わないって言われて困ってるけどね！」

「それは、気の毒ですね」

「でも気を落とさないでください。待っていれば何かしらのチャンスは巡ってきますから」

「やりたい事と違ったとか、ロールの趣旨に沿わないとか色々あるのはわかるよ？」

「でもこっちだって世界によって純ヒーラーだったり、脳筋アタッカーだったりで大変だ」

「色々と大変だったんですね」

「しかもメルンテーゼでは君らと同じ二階堂学園生になれって言われたよ」

「二階堂学園は高等学校なわけよ？　しかも妖怪を従える能力者を集めているとかね！」

「肉体が武器の21歳美女がそんな設定で同じ学校通えとかムリムリムリムリかたつむり！」

「えぇ、まぁ完全にイロモノ路線でしたからね……」

「だから入学の際、理事長の野郎にはこういってやったのさ」

「『妖怪？　それなら自販機からでてきたぜ』」

「……なるほど」

「いや、今の笑うところなんだけど」

「え？　す、すみません」

「ほんと真面目だね。でも、君のそういう所好きだよ」

「あっ、ありがとうございます……」

「そんな私の中の人はこの七海ではPNo.931で活動中だよ」

「『りこ出して』の一言を添えてメッセージよろしく！」

「私のPNoは1040なのでよろしくおねがいします」

「余計な事は言わなくてもいい」

「でも久々に会ったけど元気そうでなにより。このあと一杯いっちゃう？」

「ふふ、私がお酒を飲める年齢になったように見えます？」

「夢路ちゃんみたいな美少女とならご飯食べるだけでも充分充分」

「褒めても何も出ませんよ」

「それでは、第二回へびみこのへやご視聴ありがとうございました」

「当番組ではテリメインでおこったこんな事や現実であったあんな事」

「なんでも紹介する普通のお便りから、キャラを勝手に紹介して欲しい！　そんな人達を募集しています」

「宛先は……あれ？　宛先はどちらでしょう」

「いや、今まで別にそういうの募集したことなかったんで……」

「そうでしたか……」

「元々は二階堂学園のメンバーを紹介していただけですしね」

「とりあえずげっしょの目の届くところでいいんじゃね？」

「勝手に募集されても困……」

「そんなことよりはやくどっかいこうよ！　テリメイン、案内してね」

「私もまだここへは来たばかりで、詳しくはありませんからあまり期待しないで下さいね」

「待て、置いていくな」

「……」

「……」

「二階堂学園マトモなやついなくねぇ？」

	穏やかな海《セルリアン》

穏やかな波、暖かい水温。太陽の光を透かし、キラキラと輝く水中に、
光とともに舞うように鮮やかな熱帯魚達が珊瑚礁に集まる海域。

この世界の窓口である探索者協会からも程近いこの場所は、
色々なところから集まってきたバカンス目的の観光客や、
これから冒険に挑もうとするものたちで賑わっている。

比較的凶暴な生物もいない、穏やかな、冬でも温暖の海である。

バカンス

青く輝く海ッ！
申し訳程度に残った陸地の真っ白い砂浜ッ！
キンキンキラキラと照りつける太陽ッ！！！

そう、ここはバカンスにピッタリ夢の世界、テリメイン！
水着の美男美女ッ！
トロピカルな熱帯魚と珊瑚礁ッ！

さあ心ゆくまで羽を伸ばし、
この穏やかなる海セルリアンを全力で堪能するのだッ！

しかし注意せよッ！　穏やかな海域とはいえ、未知なる生物が居ないとも限らないッ！
そんな障害なんぞ乗り越え、全力でバカンス出来る、
げっしょのユートピアを今こそ探し出すのだッ！