空が青い。 景色を遮る高い建物がまったくない。 じっとりとまとわりつく熱と湿気、耳を叩く喧騒、海鳥のいななき。 眩しさに負けて帽子のつばを動かすと、影が視界を開いた。 　　　　　　　　　　　　　＊＊ 海底探索協会、と雑な字で書かれたこれまた雑な建物を中心に、辺り構わず小さな市や屋台が建って人々を奪い合っている。 見える影はヒト族だけではない。亜人に始まりネコや豚、変な鳴き声をしたサカナ？のようなものまで、多種多様ないきものがこの辺りに集まっているようだ。 いったいどんな生態をしているのか。 ざっと見て1000以上はヒトがいる、とは思うのだが、さすがに誰が協会への参加者なのかはわからない。 テリメインには多種多様な動植物が生息していると聞いているが、参加者と奇妙な動植物を隔てる境はちゃんとあるのだろうか。 ——確か、海底強制労働施設、だかなんだかが存在しているはずだ。 その辺りのことは心配あるまい。両方の意味で。 なかば物思いに耽りながら雑踏のなかを進んでいく。 奇抜な色の果物、妙な鳴き声を上げる鳥、空を泳ぐサカナ、喋る虫。 いったいこの中のどれだけがひとつなぎのだいひｈゲフンゲフン を狙っているのだろうか。 曰く、お宝が山のように。曰く、未知の生き物が山のように。曰く、全てを統べる魔法が——だったか。 海底探索協会もよくやるものだ。 少なくとも、「未知の生き物」については事実のようだ。 でも多分例のアレは狙ってる人いるよねきっと。 　　　　　　　　　　　　　＊＊ オノボリさんのように辺りを見ながら歩いていた男が、ふいに片手をあげた。 「社長！」 「はっはっは、やめてくれないか。もう社長じゃないからね」 "おじさん"と称される参加者が帽子を目深に被り直し意味深に目配せすると、露天の男は串焼きを一本差し出した。 小銭と引き換えに、参加者は言葉を投げかける。 「これは？」 「外で『テリメインエビ』って言われてるやつですね」 控えめに言って深海魚の一種ですみたいな形相の珍妙なエビ？が、標本にされて虚空を見つめている。 男の知識にも『テリメインエビ』の知識はあったはずだが——こんなものだっただろうか。 躊躇なくかぶりつく。ふた口、み口と咀嚼して、ひと言。 「——うん。なんというか、好みに合わないね」 「勉強します。——それで、例の件ですが」 ぷ、と殻を明後日に吐き出して、続きを促す。 が、相手の表情から"おじさん"は結論を理解したようだ。 「ダメです。少なくとも今のところ、穏やかな海《セルリアン》以外へ出港するルートはないようです。 　いくらか握らせたりもしたんですが」 「フーン。"協会"もケチだね。なんか理由があるのかな？」 「恐らくは」 "おじさん"はにこりと微笑んで、露天の男に食べ終えた串を差し出した。 　　　　　　　　　　　　　＊＊ そろそろテリメイン水豚バーガーを作らなければいけない時間だ。 男が"掲示板"を覗き込んでみると、小さな少女が面白いことをしていた。 『面白い』かはとても大事だ。 少し、考える。ノるかソるか。 本当は"両　方　獲　り　た　い"。けれど、これは択一の選択肢だ。 ならば—— 男は、賽を振ることにした。

《海底探索協会》

《海底探索協会》

おじさんは周辺を探索…………。

今回はアイテムを見つけることができなかった！

おじさんは体力を訓練した。
おじさんは魔力を訓練した。
おじさんは敏捷を訓練した。
おじさんは精神を訓練した。
おじさんは器用を訓練した。

目的の決定