其れは生物ではない。今のところは。 ＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝ 其れの低い融点は、ヒトの形を模す事に好都合だった。この世界の魔力と、別世界の廃棄物共が混じり、生まれた金属。 暗い海の底、ヒトの体温としてはやや高温を保ちながら、其れは立ち上がる。といっても、まだ足は無い。泥溜まりの上に造られた女性の裸身が、ゆっくりと起き上がりその姿を現す。 顔の位置にあたる所の窪みに二つ嵌った球。その下にまた穴が一つ。胸部から腰部のラインもやや大げさにデフォルメ気味で、とてもヒトとは言えない形状だが——ひとまずは充分だ。少なくとも『人外』と認められる程度には、整った。 「ひぇいあ」 風が切るような音。其れの声はしかし、意思を持たない。鳴声ですらない。 「ひぃぃ、ひぁぁ」 言うなれば、魂が無い。何の意味も無い音を発しながら、其れは次の変化を待つ。 『——良いだろう。今回は、お前の番だ』 魂の抜け殻であった其れに、二つの情報が与えられた。 ・名前：デオマトロー。 ・目的：楽しめ。 「しぃぃいいいい、しゅうぅぅうぅうぅうう」 指も未分化なまま、歪な手を水面に伸ばす。このままでは浮き上がれないと悟り、下半身を二本の脚へ変化させ、バタ足を始めた。 名前は自我となり、目的は燃料となった。『楽しむ』ということがどういう意味なのかすら、其れは理解していない——だが。 ＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝ 其れは未だ、生物ではない。 ない、はずだ。

《海底探索協会》

《海底探索協会》

鉛姫は周辺を探索…………。

今回はアイテムを見つけることができなかった！

鉛姫は敏捷を訓練した。
鉛姫は体力を訓練した。
鉛姫は敏捷を訓練した。
鉛姫は体力を訓練しようとしたが、EXPが足りなかった。
鉛姫は器用を訓練しようとしたが、EXPが足りなかった。

目的の決定