がちゃん、と音を立て宿酒場の扉が開く。 入ってきたのは紫の髪をした小柄な少女だ。 「あ、ユディナさん、こんにちは」 「ちょーどシゴトの依頼が来たところだコン！」 既に店内に居た数人が少女——ユディナに声をかける。 ユディナはそちらを一瞥すると、気怠げに答えた。 「残念だけど、今回は受けられないわ。て言うか、これからしばらく。そのことを言いに来たの、あたし」 「え～？どういうことー？」 突然のことに、当然ながら疑問を浮かべる別の声。 一方のユディナは少し目を逸らしながら、 「べ、別に……良いでしょ、野暮用よ、野暮用。少しの間、街を離れるから」 気まずそうに言う。 その様子をじっと見た後、何かを察したのかさらに別の声。 「ふむ……さては、遊びに出る気じゃな？それも、行楽地に」 「…………！！」 何も言っておらず、匂わしてもいないのに。 鋭く正鵠を射た指摘に、ユディナの青白い顔も少し紅がさされた。 それが肯定のサインとなり、言葉の主はしたり顔で頷いた。 「こうらくち！やったー！一緒にいくいくー！」 「でも、もう仕事は受けちゃいましたよ？ユディナさん抜きにはなりますけど、依頼はこなさないと」 「どこ行くコン？キツネの森も楽しいコンよ！……ハッ！まさか森に来るコン！？」 わいわい、がやがや。 「……こうなるから言いたくなかったのよ」 「さもありなん、じゃな」 俄かに騒ぎ出す面々に溜息をつく。 仕事の時は頼りにならないこともない仲間たちだが、常に騒がしいのがいただけない。 「で、結局、どこに行くんじゃ？」 「…………海。」 ◇　◇　◇　◇　◇　◇　◇　◇　◇　 ——そして、少し時は流れ。 青い海。 白い雲。 そして広がる砂浜。 海と遺跡の街と言われたテリメインに一隻の船が到着する。 船着場にもまた人の海が生まれ、活気のある津波を街へと運ぶ。 そんな中、桟橋の上に残っている少女が一人。

「いかにもって場所ね……眩しくてかなわないわ」 鞄を開き、中から麦わら帽子を取り出し被る。

「あいつらに感謝するわけじゃないけど……貰って置いて助かったかしら」 広い鍔が目元に影を降ろし、おかげで先程よりもはっきりと周囲を見渡すことができる。 あたり一面の海、海、海。自分が足を運ぶなど思いもしなかった景色に、無意識に少し口の端が緩む。

「………ッ！　そ、そういえば他にも色々貰ってたわね」 自らの表情に気づきどこか小恥ずかしくなったのか、首を横にぶんぶんと振る。 軽く頬を赤らめながら、気持ちを紛らわすために鞄の中を確認した。 途中、何度か辺りを見回してみて、

「誰も……見てないわよね？　見てたら今すぐ死んでやるわ……入水に丁度良い場所がそこら中にあることだし」 ……もう死んでるけど、と本当に誰も見ていないのに独りごちた。 再度開いた鞄の中には、文字や柄が入った服、槍の様な何かが入っている。 それと……紐？のような何か。 『折角だから餞別に何か持っていくが良かろう。儂は……そうじゃな、日差し避けの帽子をやろう』 『あ、じゃあ水着も入れとくねー。ちょーどいいのがあるからー。水には強いよー』 『キツネは服をやるコン！書いてある文字は読めないけど、ユディナにぴったりな気がするコン！』 『海……なら漁ですね。私からはこれを』 そのように、半ば押し付けられるようにして渡された荷物である。 ひとまず、見慣れない紐状のモノを摘んで引っ張りだしてみた。

「これは……踊り子の衣装かしら？海で使うとは思えないけど」 よくよく見ればそれは紐でなく、極端に布面積の少ない服のようだ。 以前酒場などで似たようなモノを着て踊る者を見たことがある。 鞄の中身をもう一度確認し、消去法的にそれが何かを判別する。

「水着って……これ？」 水着と言うにはあまりの見た目である。 すぐに鞄に戻そうとしたが、手を止めた。 せっかく貰った物を無下にするのもどうか。 「……水に強いって言ってたし、折角だから」 別に義理立てしてるわけでも感謝してるわけでもない、ある物だから、勿体無いから。 言う相手もいないのに言い訳しながら、再度紐、もとい水着を取り出す。 『一度だけ試して肌に合わなかったらやめよう』 そう考え、荷物をまとめると近くの浜辺、着替えができそうな岩陰を探し歩き始めた。 … …… ……… その水着の布面積は小さいのに、何故か身体にはフィットしていた。

「サイズ……ぴったりなのね。どこで買ったんだか……いや、それよりも」 なぜ自分のサイズを知っているのか。その疑問は、考えるだけ無駄と思いあえて飲み込んだ。 第一、この形でサイズが合わなかったらそれは危険すぎる。 考えるのをやめ、続けて別の服を取り出す。 取り出されたのはTシャツ、広げてみると、その前面に大きく書かれた二文字が姿を現す。 『死』『人』。

「し、ひと……　ッ！？　死人ですって！？　あによこれ！　馬鹿にしてるの！？」 だが……よくよく見れば、下に別の文字が書かれている。 どうやら読みのようだ。曰く、“SHINUN CHU”。

「ん……？　しぬ…ん…ちゅ？　どういう意味？“しびと”じゃないのかしら」 東方の文字は読み方が複数あって理解が難しい。 また違った意味合いがあるのだろうか。それに答えてくれる者も、ここには居ない。

「あんなのよもう……わけ分からないわ……帰ったら一言文句いってやる」 悪態をつきながらもTシャツも着てみる。 悔しいが悪くない着心地だ。 軽くストレッチするように身体を動かしてみる。少し丈が長い気もするが、動きやすい。

「これならもし出ちゃっても平気かしら……モツが」 裾を結ぶようにして丈を調整する。先程よりも身体にぴったりとし、腹部もしっかり支えてくれるだろう。

「最後にこれが……ん？」 残った一つ、明らかな漁業道具を取り出そうとしたその時。 何かが聞こえた。 「…………ぇ…………ぞぇ…………あ」 波の音や、葉ずれの音ではない。 小さな……鳴き声？

「……念のため、ね」 丁度良いとばかりに鞄から銛を取り出し、片手に持って声の方へと近づいていく。 声の主はイキモノだが、明らかに人でない事はわかる。ケモノか、あるいは魔物に類するものか。 岩場の……先の、茂みの向こう……ここだ。

「そこにいるのは誰っ！」 茂みを一気に越え、銛を構えながら飛び込む。 威嚇のためか、自分を落ち着かせるためか、自分では分からないままユディナは叫んだ。 開けた視界、広がる地面。 その中央、目の前に横たわるのは……一抱えほどの大きさの、青い鳥のような……何？ 「ぞ……ぞぇあ………ぞぇっ」 ともかくなんかいた。そして、干からびかけてた。 つづく。

《海底探索協会》

《海底探索協会》

ユディナは周辺を探索…………。

今回はアイテムを見つけることができなかった！

ユディナは魔導石を購入した。

ユディナはリングを購入した。

ユディナは魔力を訓練した。
ユディナは魔力を訓練した。
ユディナは魔力を訓練した。
ユディナは魔力を訓練しようとしたが、EXPが足りなかった。
ユディナは魔力を訓練しようとしたが、EXPが足りなかった。

魔導石 に 魔導力強化 を実行！
魔導石 の 魔導攻撃力 を 2回強化した。

クソTとマイクロビキニ に 防御力強化 を実行！
クソTとマイクロビキニ の 物理防御力 を 2回強化した。

リング に 魔導力強化 を実行！
リング の 魔導攻撃力 を 2回強化した。

目的の決定