トレジャーハンターの朝は早い。 　……朦朧とした意識の中で、いつか読んだネット与太話のワンフレーズを 何故か思い出した。 そういえば…何をしていたんだったか…そうだ、夜の間に集めておいた海底 地形の観測結果を描き出して…… いやその前に熱いエスプレッソが飲みたい……今朝はやけに冷える…… そこまで考えて寝返りをうとうとし、自分が今ベッドではなく海中にいる事に気がついた。 　急浮上する意識と共に現状確認をするべく慌てて残圧計（ゲージ）を見た。 次に水深計……まずい。 減圧を考えながら浮上するにはエアーが足りない。 そうだ、俺は確か海底遺跡のような人工物らしき場所の予備調査を行っていて あの海域ではありえない急な海流に巻き込まれたんだんだ。 　一体どれだけのん気に意識を失っていたのか……舌打ちしようとしたが当然 上手くいくはずもなく、周囲の様子を伺いながらなるべく斜め上になるよう泳ぎだした。 　次第に明るさを増していく海中で、視界に占める面積を次第に増やしつつある何かが あった。 鮫や鯨にしては形が変で、潜水艦とも違う……強いて言うなら家のように見える。 減圧症のせいで幻覚でも見始めたのかと思ったが はっきりとその形を視認出来るようになった時、俺はいよいよ自分の正気を疑った。 　なんだこれ…… 　同類に扱ったら鯨が気を悪くしそうな謎の……なんだこれ……が建物を曳い て泳いでいた。 昔好きだった映画に出てくるような、壁を伝う配管がちょっとかっこいいなと 思ってしまう建物をなんだかよくわからない……なんだこれ……が曳いていた。 　建物の窓から漏れる明かりは温かく、カーテン越しに見える内装は小洒落ていて 今自分が置かれている状況を忘れてしまうほど、そう……幻想的だった。 このまま浮上を続けても減圧症は免れない。首尾よく海面まで浮上出来たとしても 船から遠く離れてしまっているだろう現状を想像すると、救助される可能性は限り なく低いだろう。 それならば、目の前にあるこの不思議な建物の中に入ってみたい…… そんな、救いようの無い自らの好奇心に身を委ねることにして、俺は建物の扉に 手をかけた。 　海中にあるまじき　ガチャリ　という音と共にそれはあっけないほど簡単に開き 水面の縦横を間違えたような境をたぷんと越え、室内への侵入に成功した。 身体を伝いぽたぽたと垂れ落ちる雫が、ここに空気があることを教えてくれる。 　呆然とレギュレーターを外し、ゴーグルを外し、深呼吸をしてみた。 長いこと丁寧に手入れされた木の匂いと少しの埃っぽさを含んだ空気を肺をいっぱいに 吸い込んで満たし、そして吐き出す。 　なんだここは…… 　フィン（足ひれ）を外して建物の中を歩いてみる。木製のカウンター、その背後に あるキーボックス、ローテーブルとすわり心地の良さそうなソファ…… ここは、どうやらホテルのようだ。 急に自分の格好が仮装しているかのような場違いに思えてきて気恥ずかしくなり、 誰かいないかと探索をしてみることにした。 　カウンターとラウンジの間にある通路の奥は上階と下階へ繋がる階段になっていて 下階へ繋がる方は、数段降りるとその先は水面になっていた。上階は客室だろうか。 従業員か誰かを見つけられればと敢えてカウンターの奥へと入っていき 事務スペースの奥へ進むと“機関室”と書かれた扉がある。今更躊躇していても仕方 ないと扉を開くと、数段分ある階段の先は水面になっていた。 どうもこの建物の下半分は水没しているらしい。 　いや、そもそもこの場所は海中で……と自分の混乱具合に突っ込みを入れつつ 低く鈍い駆動音が響く薄暗い室内へと入る。海水は膝くらいまでの高さで歩くことは 出来た。 　腰に提げていた手持ち用防水ライトを点けて周囲を照らすと……仕組みのわからない 装置が並んでる一番奥に屈みこんで何やら作業らしき動作をしている人が居た。 「な、なぁ……こんなトコまで勝手に入ってしまってすまないが、俺は……」 　害意が無いことを主張するように両手を肩あたりまで挙げて声をかけると 相手はゆっくりとこちらを振り向いた。 ---------- 　「いや～、あん時は心臓ひっくり返るかと思ったね。ホラー映画かと思ったよ」 　海中巡航ホテル“八四〇一”のラウンジで、フルミネは左手を花が咲くように握って 開いての動作をしてみせた。 　「哺乳類の循環器は心理的ストレスの負荷がかかると裏返るものなのか。覚えておこう」 　「……あのなぁ……こーいうのはモノの喩えでだな………レオ、お前わかってて言ってるだろ」 　「さて、何のことかな。己れは点検をしてくる。フルミネ、お前は先に協会への登録へ行ってくるといい」 　リリィ・レオが着ける星形の装飾が施されたガラス質のマスクに室内灯の光が反射する。 その背中に舌を出して見送ると、フルミネはカップに残っていたエスプレッソを飲み干し 立ち上がった。 　「それじゃあまぁ……お宝捜しといきますか」

《海底探索協会》

《海底探索協会》

トゥオーノは周辺を探索…………。

今回はアイテムを見つけることができなかった！

トゥオーノは敏捷を訓練した。
トゥオーノは敏捷を訓練した。
トゥオーノは器用を訓練した。
トゥオーノは器用を訓練しようとしたが、EXPが足りなかった。
トゥオーノは器用を訓練しようとしたが、EXPが足りなかった。

自称トライデント に 攻撃力強化 を実行！
自称トライデント の 物理攻撃力 を 2回強化した。
装備名を 三叉のハープーン に変更！

トゥオーノはアイテムNo.3を私有化しようとしたがアイテムがない。

トゥオーノはアイテムNo.4を私有化しようとしたがアイテムがない。

トゥオーノはアイテムNo.5を私有化しようとしたがアイテムがない。

目的の決定