空は快晴。故郷と違って空気も綺麗。 こっちの季節は分からないが、うんざりするほど強い日射し。 ざざーん、ざざーんと寄せては返す波。

……うん、海だな。

潮風に髪を踊らせ、浜辺でぽつんと立ち尽くす。 ジュディは心なしか死んだ目で、水平線を見詰めていた。 はて、そもそも自分は何故、こんなところにいるのだろう、と首を傾げる。 都合よく水着姿にまでなっているが、それだっておかしい。 何せ収入の大半は機械の材料に化け、そこから生活費を引けば雀の涙。 それでも賭場に顔を出しちゃったりして、素寒貧になるのも珍しくはない。 そんな生活を送っていたジュディには、水着なんぞを買う余分はないのだ。

むぅ。魚を食いたいとか思ったのは事実だが、それが原因か？

とはいえ、思っただけで異世界に放り込まれても困る。 自分の記憶にないだけで、何かが起こったと考えていいだろう。 珍しいと言えば珍しいが、それはありえない出来事ではない。 現に今までにも————

いや、それは私が考えちゃいけないコトだったな。

いかんいかん、と首を振る。 だがまあ、心配はいらないだろう。 わけも分からず放り込まれたなら、わけも分からず追い出されるに決まっている。 そう割り切って、さて当面はどうしようかと頭を悩ませる。

温かいし、野宿は問題ないかな……となるとメシか。

だが目の前に広がる大海原を見れば、悩むまでもない。 故郷では絶対に味わえないであろう海の幸が、ここには生息しているに違いない。 しかも自分で漁ればタダ。きゃっほう、ここは天国だ。

よし！　まずは腹ごしらえだな！

意気揚々と海に飛び込むジュディ。 泳ぎが得意というわけではないが、泳げないわけでもない。 さすがに魚の手掴みは難しいだろうが、貝を狙えばいい。 一時間ほど、ジュディは食材を集め————。 結果、捕まえられたのはカブトガニが一匹。

…………これ、食えるのか？

あまりにも海を甘く見ていた。 つーか貝やばい。めっちゃ指挟む。ちぎれるかと思った。 恐れをなして貝を諦めたジュディだったが、浅瀬でカブトガニを発見。 運良く捕まえることに成功したが、これって食えるんだろうか。

ま、試してみるしかないか。

そんなわけで、調理器具もないので丸焼きを決行。 直火はまずい気もしたので、気休めに謎の海藻で包んで焚き火に投入。 念入りに火を通して完成。匂いはまあ、悪くない。 熱さに苦戦しつつ甲羅を剥がすと、

……食欲失せるなぁ。

そこにはびっしりと詰まった、小さな緑色の卵。 なんと言うか、見た目が非常によろしくない。 しかし卵は卵。栄養豊富に違いないのだ。 それに卵って大抵は美味いもんだし、と自分に言い聞かせて口へ運ぶ。

………………。

微妙だった。卵はグニュっと潰れ、食感が気持ち悪い。 ほんのりカニ風味な気もするが、それ以上に生臭い。 味もほとんどしないので、ただただ生臭い。 上手く調理すればまた違うのかもしれないが、雑な丸焼きではダメだ。 それでも食わねば死んでしまう。 無心になって卵を腹に詰め、どうにか完食。 身はほとんどないが、エラの部分なら食べられそうなので、剥がして食べる。

————っ！？

味わおうとしたら、舌が痺れた。 あ、これ毒だ。お命頂戴します系の毒だ。 慌てて吐き出し、海水で口をゆすぐ。

くそっ、なんてこった。 甲羅でパッケージング済みの高等食材かと思ったら、騙しやがって。

そこまで言われたらカブトガニだってキレていい。 悪態をついていたジュディだったが、やがて息が苦しくなってくる。 ヒュー、ヒューと息の音。 吐き出した程度では逃れられない、カブトガニの復讐である。

や、ば……動ける、内に……！

砂浜を這って、少しでも身を隠せる場所に移動する。 ジュディのテリメイン生活初日は、こうして幕を開けた。 【本日の食材】 マルオカブトガニ。カブトガニ科に属する節足動物。 カニと名乗ってはいるが、カニ味を想像したら痛い目に遭う。 ジュディはただのカブトガニだと思っていたが、よく似た別種。 フグ毒で有名なテトロドトキシンを持つので、食べない方がいい。 何よりフグと違って、美味しくない。 他のカブトガニも有毒化することがあるので注意。

《海底探索協会》

《海底探索協会》

ジュディは周辺を探索…………。

今回はアイテムを見つけることができなかった！

ジュディは重盾を購入した。

ジュディはマジックブレイクを購入した。

ジュディはSSシェルボックス(低)を購入した。

ジュディはSSシェルボックス(低)を購入した。

ジュディは体力を訓練した。
ジュディは体力を訓練した。
ジュディは精神を訓練した。
ジュディは精神を訓練しようとしたが、EXPが足りなかった。
ジュディは精神を訓練しようとしたが、EXPが足りなかった。

目的の決定