——イギリス領、バミューダ諸島。 　そこは数多くの観光客で賑わう、北大西洋の楽園だ。 　しかしその近くには船乗りならば、否、船乗りでなくとも……その名前さえ知っていれば意図して近寄らない海域がある。 　『バミューダトライアングル』。 　この島と、フロリダ、プエルトリコを結んだ三角形の中央部…… 　不用心にもそこに近づいたものは、セイレーンの手に絡め取られるという……。 　その日は珍しく、一隻の客船がその海域を横断していた。 　内部には分厚い指に金の指輪を嵌めた大富豪や、その家族が優雅にカジノに興じている。バミューダ諸島は『タックス・ヘイブン』——いわゆる租税回避地だ。それ故に、このような法を逃れたカジノ船なども、数多く存在した。 「おい、ここで止めろ」 　操舵室で、カジノを取り仕切るマフィアのボスが指示を出した。 「ボス。ここはマズいです……噂じゃ……」 「なんだ？　噂がどうした。ステッド」 　焦る部下の顔に、葉巻を挟んだ指をかぶせて男は笑った。 「『セイレーン』か？　噂は知ってる。だがそんな馬鹿げたモノが出ると思ってるのか」 　押しつけた掌を乱暴に振るうと、部下はたたらを踏んで後退した。 「時代がかったやつめ。この船には万一のためにソナーも、水中カメラも仕込んである。セイレーンなんてものが出てみろ。捕まえて売り払ってやる！」 　葉巻を吸い、大きく口を開けて哄笑しようとした瞬間——ソナーが、ビーッ！　と高い警告音を放ち、ボスは思わずむせて咳き込んだ。 「なッ……なんだ？　何事だ！？」 「わかりません！　ただ一瞬……妙な反応が……非常に小さいですが、潜水艇のような……」 「～～～～ッカメラを見せろ！」 　モニターがソナーの反応から、水中カメラに切り替わる。水の中はライトで照らされているが、仄暗く見えづらい。少なくとも視界のうちには何もないように見えた。 　しかし、遠くで一瞬何かが煌めいた。 「なんだ……？」 　カメラがズームする。ただの銀色の泡だった。 「なんだ……」 　ほっと胸をなでおろすボス。だが次の瞬間——その泡は増えた。一つ、二つ……瞬く間に細かな気泡は集まり始める。更には、それがまっすぐにこちらへ向かってくる事も分かった！　銀色の泡の外套を纏った亡霊が、まっすぐ！ 「っこ、これは……セイレ——」 　ず　ご　ん　っ　！！！ 　それから五分と立たないうちに。 　くぐもった音を立てて、一隻の船が沈んでいく。 　蓄えた金銀のコイン、煌めく宝石、色とりどりの調度品……全てが船底から、涙のように深海へとこぼれ落ちていった。 　その船の中には——幾多の人々の命が残っただろう。だがそれもいずれこぼれ落ちていく。 　遠くに船を眺める影が去っていった。右腕に小型の潜水装置をつけ、顔は潜水用のヘルメットに覆われて見えないが、露出した体つきから女と分かる。 　バミューダトライアングルには、セイレーンがいる。 　しかし誰もそれを捕まえようとしないだろう。それはただの『迷信』だからだ。 　そして一方で、バミューダトライアングルで船が沈んでも、誰も調べはしないだろう。 　なぜなら——そういう『迷信』だからだ。 　今日、七つの海に飛び込んだ女は、まさにその『セイレーン』の……『シシィ』と名乗る女だった。

《海底探索協会》

《海底探索協会》

シシィは周辺を探索…………。

今回はアイテムを見つけることができなかった！

シシィは体力を訓練した。
シシィは体力を訓練した。
シシィは器用を訓練した。
シシィは敏捷を訓練しようとしたが、EXPが足りなかった。
シシィは器用を訓練しようとしたが、EXPが足りなかった。

ホワイトゴースト に 攻撃力強化 を実行！
ホワイトゴースト の 物理攻撃力 を 2回強化した。
装備名を ホワイトゴースト に変更！

ホワイトゴースト に 攻撃力強化 を実行！
ホワイトゴーストの強化回数限界！
日数回分までしか強化は行えない。

ホワイトゴースト に 攻撃力強化 を実行！
ホワイトゴーストの強化回数限界！
日数回分までしか強化は行えない。

目的の決定