此処ではない場所で 失ったそれ　ただひとつ 黄金とは全知　透明であり全て 揺るがない唯一 無限のハイブリッドレインボウ あのひとが追い求めたものは 『決して手に入らない奇跡』 だからこそ。 だからこそ。 たとえ何を犠牲にしようとも。 今尚、追い求め続けている。 失ったそのただひとつを、再び取り戻す為に。 ──ああ、なんて莫迦莫迦しい。 「そんなもの」に振り回されて、「そんなもの」の為に生み出されて、 「ただそれだけ」で生きていくなんて、あんまりにも──あんまりだ。 けれどそれでも。 虚構の生を、共に歩いてくれる誰かを得た人形（ひと）。 からっぽの自分を、埋めてくれる誰かを得た人形（ひと）。 くだらない運命の螺旋を抜けて、自分だけの黄金を得た彼ら。 そんな人形たちと違って、この自らに、未だそんなモノを見出せていないとすれば。 ただこの身が「そんなもの」を指標に動いていたとしても、それは仕方の無い事。 だって他に、何も無い。 わたしには、何も無いのだ。 だから、だから仕方ない。 だから、わたしは。 特に何の意味もなく。 別段何の意義もなく。 けれど、それを追い求める事にした。 いつ終わるともわからない、人生の暇つぶし。 黄金練成（アルスマグナ） それはさながら、「この世の全てが手に入る」かのような。 存在そのものからまず疑われる、究極の一。 冗談のようなそれは。──人生を使い潰す為の暇つぶしとしては、十二分だった。 ──── テリメイン。 未開水域とよばれる場所。 七つの海と遺跡の世界。 姉や義姉の制止を余所目に、あの場所を発ったわたしが辿りついたのが、この世界だった。 一部の世界では、海は生命の起源だと言われる。 そうして事実はともあれ、海には多種多様な生物が見られる。──最初に此処を選んだ理由は、まぁそれだけだ。 C.DollNo.ⅩⅦの特化機能は「分析」。 現地採取向きの機能を最大限に生かすには、採取野は広く、多様であるべきだ。 研究への第一歩。ひとつ目の時間つぶしに選択するには中々に魅力的な条件だと思う。 テリメインの入り口、穏やかな海《セルリアン》 「オーシャンブルーはセルリアン。という事かしら、くすくす、随分と安直なコト。でも……地域名なんて、そんなものですわね」 海底探索協会とやらが、この海の利権を持っている組織だ。 情報屋伝いに紹介を受け、わたしを雇ってくれたのが、この組織。 それから、海中探索用の《スキルストーン》とやらを支給してくれるのもこの組織だ。 仕組みは賢者の石と似ているが、これはテリメイン特有の魔力を行使する為の専用品であるらしい。 錬金術の行使を行うにも、この《スキルストーン》を介さなければ不可能。 このテリメインで縛られるのは、そういうルール。錬金学の言葉に直すなら、世界不文律とでも言おうか。 「ＡはＡであり」「ＢはＢである」。世界を構成する要素が、それを安定させる為の法則。 一般的に多くの世界に共通するのは、「物体に引力・斥力が存在する」「有機物・無機物を構成する基本原子の殆ど」それから「道理外力。魔力、あるいはマナ」だ。 「少し不自由ですけれど。異世界ルールとしてはまだ甘い…この程度なら、そのうち慣れることでしょう」 賢者の石の形状を少し変形させ、そこに支給された《スキルストーン》を取り付ける。 これで《スキルストーン》に対応した現象発現が見られる筈だ。あとはそれを、賢者の石で上手くコントロールしてやればいい。 実力テストとやらでは、このスキルストーンのみを使ってみたものの、いまいちしっくりと来なかった。これは、それをいつも通りに使う為の試みだ。 使い慣れた操作デヴァイス、これで上手く馴染んでくれると良いのだが。 「さて、と……」 海底探索協会からは、あとは多少の手続きを終えれば、この海に出られると聞いている。──ただ、それまでは多少の時間の余裕があるらしい。 呼ばれるまでの間、冒険者達で共同戦線の相手を探すも良し。そうは言われたものの── （目的を逸らされては鬱陶しい事、この上ないですもの。同行者なんて） 必要性は薄く、いっそ不要である。 それが妥当な判断だ。丁度そう思い、この余った時間は散歩にでも費やそうと、そう決めた。 そんな頃合だった。 「めぇへへ～ぃ」 『そうですか。では、くるりと三回転半で瀕死のカツオが得られます』 二重に意味の通らない会話。 片方はこれは、鳴き声だ。そうしてもう片方は音声では無く──何だろう。意味の通らない、暗号のようなものが、気配として伝わって来るような。 声の方へと、視線を送る。 声の主の片方は、何というか……羊だった。 二足歩行の、服を着た小さな羊。そう表現するのが最も妥当だと思う。 ただ、羊毛ではない部分が浅黒い。褐色の肌は、羊のそれとしては少し見慣れない。 毛色も純白かと思えば、うすいブルーが入っている不思議な色。 見覚えの無い生物。そう、こうしたモノを求めてこの場所に来たのだ。陸生哺乳類はあまり期待していなかったのだが、せっかくの機会だ。サンプルはぜひ採っておくべきだろう。 これはなかなか幸先が良いと言える。 それから視線を外し、二つ目の声の主に遷す。 空色の毛玉の隣に鎮座している──それは。 『桃色の花は蟹になります』 それがこちらを見るなり、またしても暗号が伝わる。伝達方式が音声振動では無い。パルス信号のようなものだろうか、これは。 きらきらと輝く透明なガラスの瓶。──ガラス瓶の、これはゴーレムだ。 ゴーレムは錬金術によって造り出せる人工生命の一種であり、その中でも比較的ポピュラーなものにあたる。ただ、この固体は、ガラス容器ををベースに造られているという点が少し特殊だが。 ゴーレムには耐久性とパワーが主に求められる。故にそれを成立させつつも、入手の容易な素材──具体的には土や岩、戦闘用のものなら鉄がポピュラー。それから少し手間を掛けるなら対魔術用途で銀やミスリルといったものが用いられる。 ガラスのゴーレムなんてものは、ナンセンスなのだ。破損しやすく、コストもかかる素材はゴーレム向きでは無い。 だとすれば、理由はこの内容物にあるのだろう。ガラスでないと保管が出来ない類だろうか。──まだら模様の何とも言えない、液体だろうか。あるいは砂状でもあるような…？ （なにかしら。見た事の無い物質ですわね。……人工物には違いなさそう。どういう系統の練成かしら……？） ふと。 首の後ろあたりが、ぞくりとうずいた。 これは機能だ。「分析」の錬金術師。造られた目的が、本能を刺激している。 抗えない。びりびりと痺れて頬が紅潮してしまう。ああ、ああ。 （んんっ……あっ、ダメ、ダメ……！） 抗えない。視界が潤む。ぐっと頭を垂れて、耐え、耐えれない。もうダメだ。決まった。 ダメなのだ。こうなってしまえば。思えばずっとこうなのだ。ひとつ決めると、どうしても目が逸らせない。 あれが欲しい。わたしの大事なトコロが求めてる。あれを、アレを。 　　しら （　分析　べ　て　み　た　い　……！） 決定。すれば判断は早い。 運命や運勢と云うものは、どうにもわたしの方を向いていないとずっと思っていたのだが。それがどうだろう！ ああ逃がさない。もう放さない。今決めた、すぐ決めた。 だから──ぐるりと頭を上げてから、最初にわたしはこう言った。会心の笑みで。 「こんにちは、セッテの可愛い『御友達』。……くすくす」 ああ、ああ、運命なんて、大嫌いだったけれど。 この世界では、とっても面白そうなものを運んできてくれた……ｖ ……

《海底探索協会》

《海底探索協会》

セッテは周辺を探索…………。

今回はアイテムを見つけることができなかった！

セッテはTGシェルボックス(低)を購入した。

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セッテはTGシェルボックス(低)を購入した。

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セッテは魔力を訓練した。
セッテは精神を訓練した。
セッテは魔力を訓練した。
セッテは精神を訓練しようとしたが、EXPが足りなかった。
セッテは器用を訓練しようとしたが、EXPが足りなかった。

目的の決定