Seven Seas

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C1447 《霧笛》
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《霧笛》


 朽ちかけた霧笛の先端が、どことも知れぬ洋上に突き出している。
 斜めにかしいだ影。
 海へ埋もれた塔の根。
 ところどころに砕けた硝子窓。
 こびりついては枯れた蔦の面影。
 もはや、どうしてなかへ入れるものかもわからない。
 果たして誰かが、そこにいるのかどうかすら。

 けれど夜ごとのこと。
 霧笛としてはまるで足りない、ほの暗い光りとともに、滴り落ちる詩の声がある――。

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 参加してくださった方々を、1更新ごと詩にしてゆくコミュニティです。
 ときどきお休みすることもあろうかと存じます。
 なお、当コミュニティとPNo1447サマクとは無関係です。



1003
《 ただその深みにありて
  色は途切れた沈黙の向こう
  声も届かず 光も射さず、ましてやこの風の音をや……
  取り巻く盲いた耳に唄はただ
  どうしてこだましながら、あなたを見つめるものだろう
  響みほろびた栖からまろび浮く夢の
  眸目覚めるその朝はいつ 》


1050
《 降り続いていることを知っている
  すべては雨宿り
  いっときの塒
  つかの間の足止め
  瞬く間に屋根は変わり
  けれど道の名の変わることはない
  さあどこへ――しかし、どこから? 》

1299
《 炉
  その明るみに
  地底の実りと飛ぶ鳥を
  泳ぐ影と緑に咲く草々
  歩くもの、樹上垂れる種とを引き合わす
  手と手のはざまに鳴るは火の 》


1431
《 それは丘の先に
  塚のかなた
  山査子の木の下に眠ること
  落ちた井戸の底
  扉を過ぎ
  山を踏み越え
  黒と白のあわいを往くこと
  そしてそう、あるいはこの海の果てにこそ…… 》


473
《 水に触れるその瞬間
  見えることの響みのいろ
  そうしてあなたに知られるものらは幸いだろう
  光とはつまり
  うつくしさを見出すものなれば
  かつてどこかで
  誰かが答えたことがある
  この世でもっともうつくしいものとは
  視野の果てまで拡がりながら、視野を奪う海のことだと―― 》


 
 
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コミュニティメッセージ
亀
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コミュニティメンバー
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