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セルリアンに面する浜辺に、1軒のレストランが建っていた。
<ウミネコ亭>と書かれた看板(何故か脳がそう書いてあると理解できる)の下に開かれている店内には、木製の床、椅子、テーブルが置かれている。 「やあやあどうもいらっしゃいませ! お客さん何名様でしょうかね!」 そして元気な太った竜人が店内から出てきながら声をかけてきた。 厨房からは料理の仕込みをする音が聞こえてきている。 「うちの店は異世界提携しているからお金はこの世界の通貨じゃなくてもいいよ! むしろ金とか宝石とかそう言った部類の物の方が換金の手間が省けてありがたい!」 「お金もない? だったらちょっと魔力を頂こう! なぁに一晩ぐっすり寝ればすぐに戻る程度の量さ! 血を抜き取るわけでもない! 異世界の魔力と言うのは中々これが高価な取引素材になるからね!」 何も言ってないのにまくし立ててくる竜人。
店の入口に置かれているメニューには魚料理の他に、豚、鳥、牛、馬、更には鳥馬や竜の肉等の文字も目に入る。サラダの項目にも通常のメニューの他、マンドラゴラだのキラークリーパーだの中々物騒そうな名前があった。 中にはシェフのお任せメニューなどというのもあるが……。 地球の日本と呼ばれるところの通貨で換算すれば1食500~1000円といったところだ。
「こんな店先で立ち話しているのも悪いし、まま、とりあえず座って食べて行ってみないかい?」 竜人の男はそう言って、ふくよかな腹を揺らしながらお辞儀をして店内に向け腕を差し出した。
―――さて、どうしようか。 | | |