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( ……掃除なんぞと、一体どういう風の吹き回しだか? どうせ一片、海へ潜れば、そこいらじゅうが藻だらけ、毛だらけ。 寄り付く客もなかろうに。何年ぶりのお達しだ。
……何年ぶり、何年ぶりか? 前の新年の祝いぶりだってんなら、まあせいぜい、一年ぶりさ。 年がかわった。年があけた。年が終わって年が始まったのよ。
……そんなものに何か意味が? 季節の一巡りなんぞ、一寝入りしてるうちに過ぎちまう。 それで風が変わろうが、潮が変わろうが、今更気にすることあるか?
……こないだ立ち寄った陸の町で、今時分の暦を貰ったとかでね。 大将、ひどくはしゃいでいらっしゃる。 世間様と、“足並み”を揃えるんだと。
……祭り好きだねえ。
……おっと、止めるな、休めるな、手を動かせよ。 おさぼりがバレたら、鞭打ちだぜ。
……鳥籠の刑かもよ。
……陸流しは?
……それは、ご褒美だろうよ。 ) |