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朽ちかけた霧笛の先端が、どことも知れぬ洋上に突き出している。 斜めにかしいだ影。 海へ埋もれた塔の根。 ところどころに砕けた硝子窓。 こびりついては枯れた蔦の面影。 もはや、どうしてなかへ入れるものかもわからない。 果たして誰かが、そこにいるのかどうかすら。
けれど夜ごとのこと。 霧笛としてはまるで足りない、ほの暗い光りとともに、滴り落ちる詩の声がある――。
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参加してくださった方々を、1更新ごと詩にしてゆくコミュニティです。 ときどきお休みすることもあろうかと存じます。 なお、当コミュニティとPNo1447サマクとは無関係です。
1003 《 ただその深みにありて 色は途切れた沈黙の向こう 声も届かず 光も射さず、ましてやこの風の音をや…… 取り巻く盲いた耳に唄はただ どうしてこだましながら、あなたを見つめるものだろう 響みほろびた栖からまろび浮く夢の 眸目覚めるその朝はいつ 》
1050 《 降り続いていることを知っている すべては雨宿り いっときの塒 つかの間の足止め 瞬く間に屋根は変わり けれど道の名の変わることはない さあどこへ――しかし、どこから? 》
1299 《 炉 その明るみに 地底の実りと飛ぶ鳥を 泳ぐ影と緑に咲く草々 歩くもの、樹上垂れる種とを引き合わす 手と手のはざまに鳴るは火の 》
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