木漏れ日差す森道を行く……。



己が背後を踏み向き見れば、三つの人影。


眩き髪を湛えたフローラ、頭巾を被った金髪の娘、落ち着いた風貌の男。

皆一様に黙々として、言葉を発すること無く。

我もまた、これを好しとして、一心に自らの足を進め続けた。


精魂果てし我を介抱したのもまた、この三人であった。

さもなければ、己が身はあの場で朽ちていたであろう。


果たして、誰が最初に我を見付けたかは知るに及ばす。

幸いにして、手当てを施すのみで、此方の事情を深く尋ねられることも無く。

我もまた、深き話をすることを避けた。


全ては遅きに逸して、覆水と為りしこと。


元より帰すべき場所も無く。

今では目指し行く処も無し。


我が低き瞳に、もはや彼の高き背は映っていない。




木漏れ日差す森道を行く……。


木漏れ日差す森道を、ひたすらに彷徨い行く…………。

　イヌワシは、主にフィンやフローラを見ている。

脳の、という彼女の言い方に、妙な違和感を感じつつ、一考する。
そんなこと訊いて、知って、どうするのだろうかと思いこそすれ、

随分な誤解である。 が、彼女の正体を知らない今、ルカは馬鹿正直に、そう。
自分より高い、シズの頭の位置を見上げた後、ぱっと彼女へ向き直る。

たくましいかと言われれば、何とも、と言ったところだが。
孤児ではあるものの、恵まれているのだろうという自覚はあるようで。
ふにゃ、と笑って返しはするも、どこか寂しげにも見えたろうか。

色々と複雑な顔である。
とはいえ、悔しげな顔には少し胸がすくものはあるのだが。

指摘されれば流石にちょっと悔しい。
むぐぐ、と唸りつつそんな反論を返す青年である。

別に变化出来ないわけじゃないぞ。
そう主張しているらしい。

最初は能天気に聞いていたフローラだが、あなたの要望を耳にすると、困惑の声を上げた。

頬に口づけされ、少し慌てる。
しかし親愛と言われて振りほどく理由もないので、そのままあなたの腕の中へすっぽり収まった。
体温がじわりと伝わってくる……。

観察されている様子にややたじろぎつつも悪意のある相手ではないと判断し、若干緊張が和らいだ様子で少年は話を続けた。

あなたの言葉に少年は若干気恥ずかしげな顔をした

ちらり、とフィンの方を見やる。

フレイルを構えると、じっと相手を見据えた。

　イヌワシは、一つ、大きく羽ばたいた。