※日記、PTメッセともに、今回の戦闘後の時間軸となっています。予めご了承ください



予感が確信に変わったのはつい最近のことだった。


近くにロスがいる。


同族が近くにいると、同時に神殺しの紋も疼くのだ。

そしてヤツは以前と違い、今は異質な力を抱えている。

見当はつく。エネルギーを供給する為にエンブリオを取り入れたのだろう。

適当にネクターを見繕って、エンブリオと契約して場を凌いでいればよかったものを、

ヤツはそのまま体内に取り込んで力としたのだ。

あたしたちの目的は、元の世界に帰って神と畏怖される化け物を斃すことだ。

ロスはそれを履き違え、自身の欲に溺れ、力を欲したのか？


そう問われれば答えは否だ。


０とは言えなくとも、誰よりもその使命に忠実であった男だ。

誰よりも力を欲する理由は、それだったのだから。

では何故ロスが敢えてその行動をとったのか、あたし達は見届ける必要がある。

もう魔王は倒されたと聞いた。それでもまだ黒幕やらなにやらが居るおかげで

戦いは続いているようだけれど……　それはこちらの、メルンテーゼの民が解決することだ。

あとは彼等がこれからどうしていくか……それだけだろう。


ならば異界から来た自分がとるべきことは一つである。

小さく呟きながら、音を立てずに手を合わせる。

寝入る仲間に気づかれないよう、一人と一匹は姿を消した。