夢に見た白い少女の涙に、私の心臓は止まったかのようだった。
　私と同じ菫は、真っ直ぐに私の姿をその色に映していた。

　その時、私は漸く気付いた。

　私が追い求めていたのは兎ではなかった。
　私が触れなければならなかったのは彼女だった。

　理由はよく分からない。
　でも、そうだと思った。
　最早確信に近いそれだった。

　けれど所詮夢は夢。いつかは掻き消える。

　だから。

　伸ばした腕は指先一本彼女に触れることはなく。
　それでも世界が崩れる直前、彼女が口を開いたから。
　私はただ必死に、彼女のその口の動きを読み取って。







　何が、とか、どうして、だとか、わからないくせに。
　それでも、私は。


　“うん　おわるんだよ”


　そう言って、　　　。