【SummerVacation】


暗い闇の中、闇を照らすように明るさの違う星々が川を描くように散らばり光り輝いている。
その星空の下、ほのかに光る静かな海。

そんな風景を眺めながら、二人の者が雑談をしていた。
一人は肩ほどまでの空色の髪をもつ者。
もう一人はココア色の髪を右肩の上あたりで鶸萌黄（ひわもえぎ）色の髪留めを使い纏めている者。

「夜の海って怖いイメージがあるけど、こうして見ると全然そんな事ないよね。
寧ろ、神秘的でずっと居たい気分」
「‥‥‥そうだな」
どうやらココア色髪の者が主な話し手で、空色髪の者は聞き手のようだ。
「故郷にいた時は周りに山と森しかなくて、星空は見ることが出来ても海なんて見る事ができなかったよね。　だからこうして、星空と海を眺められるのって幸せだよね」
「ああ」
「村で星空を見るのも好きだったけど、今こうして眺めている風景も好きかも。
ねえ、やっぱり‥‥‥夜の海では泳がない方がいいよね？」
「そうだな。　溺れたいのなら、別に止めはしないが」
「だよね‥‥‥。　夜の海で泳ぐことほど危険な事はないよね‥‥‥そうだよね‥‥‥」



「‥‥‥それにしても、ここ誰もこないね。　穴場なのかな？」
「さあ、どうだろうな」
「誰も来ない海辺で、二人きり‥‥‥かぁ。　なんだか、ロマンチックじゃない？」
「‥‥‥‥‥‥」
「こんな時は、やっぱり‥‥‥ふたりの時間を楽しむ方が良くない？」
「‥‥‥‥‥‥」



————————パラ。（ページを捲る音）

以上、水音の妄想でお送りいたしましたSummerVacationでした。
空色髪の者とココア色髪の者の性別は、個々の想像にお任せいたします。