■ Day 38 ： 本当に……？

　朝からキエメちゃんは上機嫌だった。昨日アサちゃんに耳を引っ張られたことなんて忘れちゃったような感じで、鼻歌を歌いながら軽やかにスキップして道を歩いている。

　と、キエメちゃんは自信たっぷりに話したのち、腰に付けた袋から2つの小さなものを取り出した。

　……へ？
　思わず視線がぬいぐるみとキエメちゃんの間で泳ぐ。

　わたしはどう反応していいのか困った。
　だって、だって、キエメちゃんが、ぬいぐるみで一人芝居してたから……

　実際はこんな（↑）感じ。

　わたしはアサちゃんを呼んで、キエメちゃんのぬいぐるみとエンブリオを封じ込める力の話をした。予想通りアサちゃんも半信半疑な態度を取ったけど（それよりもあの一人芝居に呆れてる感じだった）、面白いねとは言っていた。

　そう言うやいなや震え気味だったキエメちゃんの顔が自信を取り戻したかのように輝き、さっきみたいな上機嫌に戻った。

　こういうのがチョロいって言うのかしら。多分違うと思うけど。
　……まあそれは置いといて。上機嫌なキエメちゃんはアサちゃんの胸の前に両手をかざし、目を閉じて集中し始めた。彼の手の前に光が集まりだんだんと大きくなっていくと、アサちゃんの口から「いてて」という声が漏れた。

　わたし達にぬいぐるみを見せるだけ見せて、勝手に一人芝居を始めて自分の世界のみ篭ってしまった。

　実際に戦って、ぬいぐるみを動かしてくれないと何も言えないわね……

※意訳　今日は勝とうね！

なにかをつついている。