たとえば、二つの道があるとする。
その道はどちらも同じ場所へつながっているけれど、
片方は楽な道でもう片方は険しい道だとわかっている。
君は右か左か、分かれ道の前でどちらかの道を選ばなければならない状況に陥っている。
どちらの道が楽なのか険しいのか、事前に知る術はないものとして、道を選んだが最後かならずその道を進んでいかねばならない。
どちらの道も外観から踏み心地触り心地頬へ与えるじょりじょりした感触その他全てが同等のものである。
以上の条件をふまえた上で、さて君ならどちらの道を選ぶかね。

右を選んでも左を選んでも、その結果がどうであったとしても。
それを自分が選んだ道だと受け入れていくことができるかどうか。
選ばされた、という後悔ではなく自ら選んだという達成感。
それさえあれば、それ以降の人生で失敗を糧に前へ進んでいけると思うかね。
それともいつまでも失敗を引き摺り、あるいは成功を心の拠り所として思い出す人生を送るのだと思うかね。


我輩は思うのだけれど。
この手の話において、明確な前提条件を提示しないことはそれこそ詐欺みたいなものではないのかな。
つまり最初の話でいえば楽な道がどの程度楽なのか、険しい道がどのように険しいのかの説明がされていないね。
何を基準として楽なのか、あるいは険しいのかが提示されていない。だからこそこれを見た者は自身の価値観を適応して想像を巡らせるのだと思うが
想像とか関係なしに事実はすでに定められ現実に存在しているというのにそれを開示しないというのは立派な隠蔽行為ではないのだろうか。
意を決してどちらかの道を選んだは良いものの、楽な道が険しい道よりはマシなだけで割かし苦しい道だったり、険しい道が楽な道よりはキツいだけで案外ヌルい道だったり。そんなことだってあり得る訳で、そしてそんな想像を先の質問にて巡らせることができる者は少ないのではなかろうか。
重要なことなのだからしっかりと事前情報を得て挑みたいものだね！とまとめればいいのだろうけど、そもそも二択を迫られる道自体が別に重要でもない可能性だって否定できないのだよね。
今日の朝食をパンにするかご飯にするかの選択だよ、と後から言われてがっくりくるようなことだってないとは言い切れない。
何について選択するのか、選択する道の具体性、こういった情報を事前に知ることこそが、今回の質問にて求められていることなのではないのかな。

……あの

？

そんなこと、みじんも思ってないですよね？

ただ単に長い台詞を言いたかっただけだからね

はあ……