従えるエンブリオは三体、なかなかやれる船守と知り合い、戦いの糸口を掴んだフリードリヒ少年にとって戦いを生きて突破する兆しが見えてきた。水辺へ進路を変えたのは、より力を蓄え経験を積むためである。自分達と同じ方向へ進むもの、或いはもっと険しい道へ進むもの、このまままっすぐ進むものとさまざまで、人達はおもいおもいの武器を携えて脇目も振らずに進んでいく。みな、土地を守るためとかに戦うのだろうか。或いは、そうではないのだろうか。フリードリヒ少年には検討もつかなかった。

小石を蹴って少年は考える。
水は高いところから流れるのみである。

貴方の歌が響く。
仏頂面の男も、貴方に合わせて下手なりに歌えば、泥船も大船の推進力になって力強く進むだろう。それは舟の上の楽団と呼ぶには出来が悪く、酔っ払いにしては場違いで、何にしても不気味な光景には違いなかった。

と、胸に手をあてて深々とお辞儀した。