哀れな帝王イカの大きな触手はバラバラに。
触手を失って慌てふためきながら帝王イカは水の中へ飛び込んで帰っていきました。
私たちの邪魔をするとどうなるかこれで身に沁みたでしょう。

帝王イカを倒した後、私たちの後ろで日和ってた金髪少女Bが何やら言ってます。
・・・貴女、何もしてないでしょうに。

上目視線での物言いだったのでちょこっと癪に障りますがここは笑顔笑顔♪
アラヤちゃんの前で醜態を晒す訳にはいけませんものね。

金髪少女Bと別れると丁度日が暮れ始めていたので安全そうな場所でキャンプを貼ります。

そして今日のお夕飯はもちろんゲソ焼きです。
大量にあるので暫くはお肉に魚介類にと食料には困りそうにありません。

不思議な鼻歌を歌いながらゲソ焼きを焼いてる私の姿に、アラヤちゃんから少し憐れんだ視線を感じた気がしました。

　＊　＊

次の日、私達はそのまま水辺の道を辿っていきます。
暫く歩いていると川と森が途切れ、出口に到着します。

着いた出口の先は如何見ても荒野。広がる荒野。暑っ苦しい荒野です。
ぱっと周囲を見渡すと以前に通った荒野の道とそっくりな岩がありました。

ここはアラヤちゃんと出会った森に続いてる荒野のようです。
うーん、どうやら私たちは通った道を一周してきたみたい。
あはは・・・と苦笑いを浮べる。アラヤちゃんはそんな私の様子を怪訝そうに見てました。

着いてしまったものは仕方ないのです。
ここで立ち往生しても先に進まないので、とりあえず私達は荒野を渡る事にしました。
幸い道なら私が知ってるし、大丈夫よね！


（・・・・・・・・・・・・数十分後。）


・・・・・・迷った。
よくよく見ると以前見たそっくりな岩はそっくりなだけで別物でした。
つまりここは私の知らない荒野です。多分。
しかも私の苦手な熱砂の暑さでそろそろダウンしそうです。
この状況どうしよう・・・と悩んでると、私の様子を不思議に思ったらしくアラヤちゃんと目が合います。

素直に謝って道に迷った状況を伝えます。
状況を知ったアラヤちゃんもこれには溜息を吐きます。ごめんね役立たずなお姉さんで・・・。

こんな事なら水辺を進めばよかった・・・と心の中で後悔しますが今更どうしようもありません。

そんなダメな私が熱砂の暑さと疲労で少しふらついてると、アラヤちゃんが手を引いて岩陰で休ませてくれました。
ホントによく出来た子です。アラヤちゃんのお姉さんがちょっと羨ましい。
私が休んでる間、アラヤちゃんは周囲を見渡して一生懸命道を探してくれていました。

　＊　＊　＊

岩陰の涼しさにウトウトと居眠りをしていると気が付けばアラヤちゃんの姿が見えません。
もしかして置いていかれたのかと私は慌ててアラヤちゃんがどこに行ったのは周囲を探します。
幸い荒野の砂にくっきり足跡が残っていてそれを辿って追いかけていきます。

暫く足跡を辿っていくと何やら怪しい場所に・・・いえ、凄く見覚えのある場所に着きました。
そこは以前黒いタイツの女の人が守っていた地下牢の入り口でした。
そしてアラヤちゃんの足跡はその奥に続いてます。

私が入り口の前で入るのを躊躇してると、奥の方で何かが光って爆発したような音が聞えました。
魔力反応からしてアラヤちゃんの物じゃないですが、明らかに今のは攻性魔術による法撃。

ここで躊躇してる場合じゃないと私の中で警鐘が鳴り響きます。
私は走って地下牢の中へ突入していきます。

・・・・・・！

法撃音がした場所まで通路を走っていると
視線の先に数体の魔物に襲われそうになっているアラヤちゃんの姿が入ります。
既にアラヤちゃんは逃げ切れ無い事を悟ってか応戦準備に入ってました。

私は魔物の隙間を滑り込むようにしてアラヤちゃんの前に立ちます。
アラヤちゃんの方は特に外傷も無く無事のようです。よかった・・・。

怒り心頭の私は即座に武器を構えて、目の前の魔物達への報復戦の開始です。