ねえ？



私、幸せです。貴方に会えて、本当に幸せ。



…貴方に出会えなかったら、と思うと…少し怖くなるんです。
もしもあの時、貴方に…あっ！？



…ありがとうございます。…ではもう少し、このままで…

モノは、木陰に座り込み、違和感をこらえ続ける。頭のなかに流れ込む、誰かの記憶。

無論覚えはない。だが、確かに自分が記憶していたもの。

ふらり、ふらりと、頭に蔓延る違和感を押し殺して歩き出す。

位置は、大体分かっている。先程から、「奴」の魔力が大きくなっている。

ザリッ、ザリッと足音を立て、ローバルは戦士へ…マスカレイダーシェイドへと近付く。

シェイドは、息を荒らげている。当然だろう、魔力の大半を吸われ、身体にも大きなダメージを負っているのだ。
むしろ、変身が解除されず、尚且つまだ戦意を失っていないのが奇跡的なほどだ。

ローバルは、ピタリ、とその場で歩みを止める。異常な光を発しているネクタードライバーを、警戒しているのだろう。

皮肉の篭ったシェイドの言葉にも耳を貸さず、ローバルは自分の体から生える棘を、一本抜き取る。
そして、大きく振りかぶると、それをシェイドのネクタードライバーに投げつけ、


ようとした瞬間だった。

シェイドの首筋に、何かが突き刺さった。それは、黒い石のような物体。

シェイドは、首を回して後ろを見る。

そこに立っていたのは、

白い男。服も肌も右眼も髪も、全てが白。唯一つ、左目だけが黒々と、闇のように存在している。

シェイドは、どさり、と地面に伏す。その体が動くことはない。

ローバルは、その二人のやりとりを指をくわえて見ている程、ヒマでは無かった。

じゃりっ、と足元の砂利を蹴り、臨戦態勢を取る。

しかし、そんな言葉に耳を貸すはずも当然無く、ローバルは雄叫びを上げ、ナスカに飛びかかる。

がぎん



がしゃん　がしゃん

ローバルは、違和感に気づく。
目の前に居るのは、あの全身白の男ではない。黒と紫の装甲を纏った、無機質な見た目の…

ローバルは狼狽える。奴は、あの白い男に攻撃を受けて倒れたはずだ。
何故、目の前に立っている？何故、首筋に受けた傷がないのか？

そして、先程の「がしゃん」という音は何なのか？



それらの答えは、一度に齎された。

そう言い争う二人を見ながら、ローバルはある違和感に気づく。

腕を伸ばしているはずなのに、腕が見えない。


腕がない。

後ろを振り向くと、そこには金色の腕が落ちている。それは紛れも無く、ローバルの腕。

後ろを振り向いたローバルの後頭部を、思い切り蹴りぬく。受け身すら取ることが出来ず、ローバルは無様に地面を転がる。

未だに言い争う二人。それを見て、ローバルは飛び起き、再び飛びかかる体制に入る。

しかし、今度は受け止められないように、足を狙う。

そして、飛びかかった。

飛びかかったはずだったが。

前に進まない。
ローバルの体が、シェイドに飛びかかろうかという体勢で、空中で止まっている。

狼狽えるローバルが、首だけを捻らせて周りを見渡す。そして、そこに在る何かに気づいた。

円盤だ。

空中に、まるで「銀河」のような模様の描かれた「円盤」が二枚、くるくると回転しながら浮いている。

そう言うと、シェイドは腕を振る。まるで、手で起こす風でホコリを吹き飛ばすように。

その動きと連動するかのように、空中に貼り付けられたローバルの体は、それこそホコリのように吹き飛ぶ。

そして、その延長線上にあった岩にぶち当たって、止ま

止まらない。岩にめり込み岩を押し割り、石を突き抜けて更にその奥の崖にぶち当たる。

そしてようやく止まったかと思えば、ローバルの体が空高く浮き上がり…

地面にものすごい勢いで叩き付けられる。それも一度ではなく、二度、三度、四度、何度も。

シェイドはナスカの言葉に耳を貸さず、腕を上下にブンブンと振り回している。

それに合わせて、ローバルの体は空中と地面を交互に往復する。

数分後、ローバルの体の往復はようやく止まり、空中で停止する。

そして、地上に居るシェイドの目の前へ、ゆっくりと降りてくる。

シェイドは、ローバルの頭を鷲掴み、そのまま前へ倒すように回す。浮いているローバルの体は、そのまま回転する。

そして、

バギャアッ！

回転しているローバルのちょうど顔面に、正面から思い切りハイキックを叩き込んだ。

ハイキックの衝撃と回転の勢いの加算によって、ローバルの仮面は無惨に叩き割られ、目も鼻も口もない黒い顔が露わになる。

そして、ローバルの体は空中に舞い上がり…

ブゥゥゥゥン…

妙な音とともに、再び空中で固定された。

辺りを見れば、そこには『リング』。

紫色の『光のリング』が、ローバルの体を取り囲むように出現している。

ローバルは、その光のリングの内側から逃げ出そうと藻掻くが、情けなくその場でくるくると回転するばかり。

シェイドは、先程から輝きを衰えさせない「ネクタードライバー」に手をかざす。

すると、その手の下で、ネクタードライバーは光を少しずつ緩めていく。

そして、その手が取り払われ、下にあったものは、


E-タブレットに描かれた「N」。


エンブリオであるシェイドの「S」ではなく、銀河をモチーフにして描かれた「N」の文字。

そして、E-タブレットを一度半分引き抜き、再び差し込む。






合成音が、辺りに鳴り響く。

ネビュラは、雄叫びを上げつつ飛び上がる。強化外骨格により補助されたその脚力は、空中に浮いたローバルに軽く到達した。

そして、足を大きく振り上げ、

紫色の光を足に纏わせ、全力の踵落としを叩き込んだ。


紫色の光は、命中とともに周囲に広がり、球体型の爆発を起こす。

それは、遠くから見れば、「隕石群を伴った惑星」に見えた。



どさ

爆発がひと通り収まった後、空中から落っこちてきたのは、生身のネビュラ。

先ほどの魔力の過剰な放出にネクタードライバーが耐えられなかったのか、正中線で見るも無惨に割れている。

そして、そのネビュラの前に立ったのは。

ローバル。

体を覆う黄金の甲殻はヒビだらけ、顔面は無惨に割られているが、それでもなお動いている。

ローバルは、ヒビだらけの体を引きずるように動かしながら、じわじわとネビュラに近づいていく。

そこで、ネビュラの意識は途切れた。

動かなくなったネビュラを前に、ローバルは腕を振り上げる。まるで、勝鬨を上げるように。

そして、その腕を振り下ろそうとした瞬間だった。

視界の隅にちらついた、漆黒の鎧。

その方向へ注意を向けた瞬間、ローバルは凄まじい衝撃を受けて、背中から体をくの字に折り曲げた。

悲鳴や断末魔すら上げる暇もなく、ローバルのボロボロになった体は、刃のない剣の一撃によって引きちぎられ、

そして、そのまま空中に黒い霧となって霧散し、消滅した。

モノは、ネビュラの胸倉をつかみ上げる。労るという感情は、そこには一切ない。

独り言をブツブツと呟きながら、モノは違和感が蔓延たまま、ネビュラを引きずって歩みだした。

歩みだそうとした瞬間だった。

背後から、拍手の音が聞こえる。振り返れば、そこには白い男。

あからさまに怪しいが、それを立証する手段もない。何よりも、この違和感を早く消し去りたい。

そう判断したモノは、白い男に踵を返して再び足を動かす。

ペリペリ、という、紙を剥がすような物音に振り返ると、白い男は姿を消していた。


前回に引き続き、ENo178「黒谷シュウスケ」様より「ローバル」の設定、「マスカレイダーシェイド」のアイコンをお借りしました！

そういう風に言われるの、苦手です、と、抗議のつぶやきをボソボソと。

じー、と見ながら、ついと手を上げワキワキさせて、そんな返しをするのでした。

実際には、少なくとも一名はそういう人はいたのですが、アムルはほとんど目にしたことがないのでした。

いきなりなんかグロいことしてるっぽいのでちょっと引きます。

ギャグキャラという概念にすっかり慣れ親しんでしまったアムルです。
でも便利な概念ですよね。


ちなみに、恋愛経験については。

とのこと。

そう隠すほどのものでもないのは確かだ。
隠すつもりなら、元よりこうして人との関わりなど持つはずもない。

理由を説明して終えれば、続く問いを思い出しさて…と思案した。
どう伝えたらいいものか。アイツラを。
言葉を選びつつ、口を開く。

作製依頼受け付け中
Lvは15、依頼の際は詳細をホームで確認した後
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（ひよこが一羽、てくてくと歩いている）

（どうやら同行者を捜しているようだが・・・？）