「こんにちは」

「まあまあチャンコさん、いつも顔を出してくださって有難うございます」

「魚を多く頂いたのでおすそ分けに参りました」


現在、兵藤の奥方と娘は街の平屋に住んでいる。

先日の一揆で、屋敷を焼かれ主人を亡くした母と娘は途方に暮れていた。
見るに見かねたチャンコ・つゆダーくクルセダーズは自分が住んでいた平屋の大家に頼み、
彼女たちの仮住まいを用意したのだ。

仇の家族に情けを掛ける行動はチャンコの評判を上げていた。
人徳のある男だと敬意を持って見られ、次の役人職にはチャンコにしたらどうかという話まであった。

しかし、私腹を肥やし、兵藤を陥れたのはチャンコであった。
このうえ兵藤の家族を近くに匿いどうしようというのか。


ドタドヤドた
「チャンコさん、おみやげ何？」

「これ千姫、はしたないですよ」

「今日はお魚です」

「やったぁ〜」

「本当にしつけが行き届かずすみません」

「いえいえ、子供は元気な方が宜しいではありませんか」


「今日はあるお話を持ってまいりました」

「何でしょうか」

「奥方は琴が得意でありましたね、教室を開いてはいかがでしょう」

＞アイネ

＞トマト