私の名前は探索者G。
旅費の節約のために訪れた人もまばらな陰気で寂れた小さな漁村。
あいにくとバスの故障で街のホテルで一夜を明かしたが、特に何も起きなかった。

出発までの時間で暇を持て余していると酔いどれの老人から妙な噂話を聞かされた。
老人の話によると今、ちょうど近くの海岸で[SummerVacation]なる催しが行われているらしい。

バスの発車時刻まではまだ余裕がある。
そう思った私は話に聞いた祭りとやらを見物に行くことにしたのだった……

後日、自分がこの時の軽率な思いつきを激しく後悔する事も知らずに！


気がつけばいつの間にか日は沈み、辺りには夜の帳が下り暗闇が訪れていた。
もちろんバスの発車時刻はとうの前に過ぎ去っている。

しかも運の悪いことに夜空には雨雲が立ち込め、遠くからは雷鳴の音が聞こえてくる。（注1）
ひとまず雨をしのげそうな場所を探していると、偶然、古い民家風の佇まいの屋敷を見つける事ができた。


だが、その屋敷の中はひどく奇妙な、いや不気味と言ってもいいような作りになっていた。
ひどく薄暗い室内、うっすらと霧がかかったようなやけに肌寒い空気。そして時折聞こえてくる悲鳴のような金切り声！
墓場や廃墟を模したようなオブジェの数々の中を恐る恐る進むと、そこで宇宙的恐怖との出会いを果たすのだった。


（くるっ）

……！……！？

私は慄然たる思いで突如ふりむいたその異形の物体を凝視した。
それは人の頭部としか言い様の無い姿をしており、狂気じみた緑色がまるで海藻のように複雑に絡みあっていた。
そして這いずり回るように近付くと、戯画（トゥーン）の登場人物のような、名状し難い声で語りかけてくるのだった。


この世の物ならざる奇怪な生き物の目撃した恐怖に、私は叫び声を上げて一目散に通路の先へと走り出していた。
途中、何人かとすれ違ったようなような気がしたが、すでにそんな事に気をかける余裕はどこにもなかった。



……気がつけば、いつの間にか昇っていた朝日が海岸で倒れていた私を照らしていた。

意識を取り戻した私は、口の中の砂を吐き出しながら立ち上がる。
幸い体はどこにも異常はないようだったが、あれからどうやってここまで来たのか、記憶は何一つ残っていなかった。

あるのはただ、私の心に拭い去れない恐怖が深く、鋭いナイフの傷のように刻まれていただけだった。

いったいあの屋敷は、そしてあのおぞましくも冒涜的な生き物はなんだったのか。
その謎を解明する気力もないまま、私は体をうち震わせ、一刻も早くこの場所から立ち去ろうと決意するのだった。


　〜　Fin　〜

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┃ にア　進行方向 ┃

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ぺったん、ぺったん、ぺったん
ヒタヒタ、ヒタヒタ、ヒタヒタ

ぺったん、ぺったん……ぴたり
ヒタヒタ、ヒタヒタ……ピタッ

振り向けばそこには頭の皿がまぶしい緑のたぬき……もといカッパの姿。
そして視線と視線が交わる緑の生物（なまもの）同士。そこで感じるのははたして共感か、それとも拒絶か。

人はお互いを分かり合える事ができるのか……

食べ終えるのを見届けるとカッパはもう一度頷き、ある方向の通路を指差す。
そこには「出口」と書かれた札が書かれている。

その言葉に親指を立てたサムズアップで答え、カッパはヒタヒタと立ち去っていく。

「ピロリロリーン！クティラちゃんの好感度が１上がった！」


こうして、お化け屋敷（注3）から無事に脱出したクティラちゃんはカッパさんに感謝しつつ仲間の所へと帰っていくのであった。
最後まで、実は自分が脅かし役であった事にはこれっぽっちも気がつかずに……




注1　通りすがりのパロロコンの仕業です。
注2　誤訳です。
注3　コミュNo.319 お化け屋敷【サマバケ限定】にお邪魔させて頂きました。

ぱんつかぶってる桜子先生を見て絶句