少し前まで董琉と一緒にいたのだが、
一人になりたいと伝えて水辺から離れ、自然の木々に囲まれたこの場所に辿りついた。
水辺から少し歩いたところ、本当にすぐ近くなのだが、思っていたより人目につきにくい。


しばらく答えが出ないようなことを考えすぎて、正直頭の中が混乱していた。
——自分の中のある意識。
あの頃の自分は、一体誰と会話していたのか。
そもそも実際に「会話」していたのかさえ曖昧なのだが、
いざ実戦で自分の能力で仲間を助けられなかった時、ふと思い出した過去だった。

『どうして、こんなことも出来ないの？』
『本当に、必要とされているの？』

改めて思うと、「ある意識」からの言葉は
まるで自分を否定するかのような残酷なものに聞こえた。

——そういえば、前も挫折を経験したことがあったかな…？
その度に、「ある意識」が語りかけてきたんだっけ…？

…ぼんやりとしていて覚えていない。

表立って言うことはないが、昔から責任感が強かった。
神乃に生まれた自分の立場、その役割をしっかり務めなくてはいけない。
そのために修行し、先代達のようにならなくては。

目を閉じ、澄んだ空気をすうっと吸い込み、そしてゆっくり長く息を吐く。
修行を始める前には、必ず深呼吸を1回。
誰に教えられるわけでもなく、子供の頃からずっと続けてきた癖のようなものだった。
…といっても、修行らしい修行を再開したのはここ最近だけど。

一度、頭の中を整理しよう。
そんな気持ちで、神楽を舞う。
神乃として、カムヨリの地を護り、鎮魂、穢れを祓い、人々の支えに——…
自分らしく在るために。

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