ノエルと別れてひとりで歩く

これからしばらくは別行動らしい

一揆はの範囲は未だ拡大を続けているそうで、どんどん新しい場所が見つかっているんだそうだ。

どんだけ広いんだよ　王城


そんなわけで、ボクはノエルが見つけてきた案内人に連れられて、新しいエリアを下見をはしごするらしい。

負けたばっかりだってのに、真面目だねノエルも


そう、負けた　しかも、2回目

不意打ちとか、だまし討ちとか、知らなかったとか、言い訳のできない、まさに惨敗


もお！！　ノエルのせいだぞ！！　強く叩くなってあれほど言ったじゃないか！！！

別れるまではと我慢していた文句が、一人の軽さで口をつく


だいたい、1回目だって回復とかしてたけど、ボクから見れば、じゃまくさくって動きにくいんだよ！！

一度せきを切ってしまえば、後は決壊に任せるがまま


今回だって、ボク一人の方がうまくいったんじゃないか？

どうせ、聞いてるものなどいやしない


いっつもそうだよ　あいつ勝手にボクの行先とか決めてくるし

大草原行こうって言ったのあいつだし

案内人に会うまでに出し尽くした方が健全だ


ボクはちゃんとやってたのに！！

悪いのは全部ノエルなんだからな！！！



はい、そうですね



！！

帰ってくることのない同意の声に、歩みが、頭が停止する


あなたは誰　ですか？

別に興味があったわけじゃない

ばつの悪さをごまかすために、出てきた非難がこれだった


西方領からの追手ですよ？　トーマスアンダーソン


いつの間に居たんだろう

これから行くのが訓練場で、合流前でもそんな感じで

確かに建物も結構あって、平原みたいに開けてなくて

それでも、周りに誰もいないと確認したのに


いつから聞いていたんだろう

結構いろいろ言っちゃってたし、ボクの名前知ってるみたいだし

追手というには悠長で、追手というにはにこやかで

それでも、追手なんだ　きっとボクを捕まえに来たんだろう


まずは観察、ここまで一揆で生き抜いてきたんだ

その位は心得ている

ボクより少し背が低くて、ボクより少し年上そうで

確かに西方領から来たんだろう

見覚えのある服装で、親しみのある僧服だった

顔つきで女性であることはわかるんだけど

（残念ながら）

僧服越しでは体つきまではわからない

力押しなら勝てるかな？

と一瞬思い浮かべたが、人狩少女の影が浮かんで

女性も怖いなと思いかえす



いやでも　ボクはノエルと一緒にいただけで

一緒に居たのもたまたまで



それでなんだか今まで一緒で



そうですね、さっきあなたも言っていた通りだと思うわ、悪いのは全部ノエル君

でも、わたしはきちんとそれを確かめなくちゃいけないの。

だから、トーマス君　わたしの質問に答えてくれるかしら？


彼女は本を開き、腕時計に眼を落す

あれに質問事項が書いてあるんだろうか？

この間のノエルの本と違って、向かい側からでは内容を見ることは出来ない。



Pourquoi est-ce que vous avez participe a l'ikki?


え？

ごめんなさい　よく聞こえなかったんですけど・・・



どうして、一揆に参加したの？


もう一度、言い直してくれた　今度は聞き取れる


そうですね・・・

なんというか・・・　その・・・

英雄になりたくて・・・


不意に彼女の表情が緩んだ気がした

笑われたのかな・・・　やっぱり・・・



それから数分、彼女の質問に答え続けた


他の参加者の事

故郷の事

家族の事

魔王パラダイスの事

人狩を捕えた時の事

世間話


ノエルの事



そういえば、ノエル君って、勇者ノエルと同じ名前なんですね

トーマス君知ってる？　勇者ノエル


光と共に現れた、今のところ西方領最後の勇者

トーマス君知ってます？　彼の詩がなぜ決戦前で終わっているのか

なぜ、彼は勇者なのか


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PTM　ENo1161　ノエル君をお借りしています

トムの瞳の動きを、注視するように見返して。

そう謝辞を述べた。

自分の世界の英雄譚について尋ねられれば、
ふむ、と考え込む素振りを見せて。

と、何故か疑問形であった。