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「おー…。豪華な夜景なこって。」


夜景を邪魔しないように配慮された少し低めの手すりにもたれかかり、見下ろしながら俺は煙草を吹かしていた。
俺をこの部屋に誘った少女……というには少し幼い気もするが……まぁそいつに吸うならベランダで、と追いやられた。
ぐるっと身体の向きを変え、誘われたたぶん寝室であろう部屋を見やる。
やたら豪華な調度品が並び、高そうな本棚によくわからないハードカバーの本。
豪華なダブルベッドの上で寝転がりながらサイドチェストを物色してるその子へ視線を移す。


「金持ちの考える事はわかんねーな……」


大きく息を吐きながら、自分の部屋だろうに物色しているようにしか見えない姿を見守る。
耳と尻尾をゆらゆら揺らすのを目で追いかけつつ。


「最近の玩具はすげーのな。本物にしか見えねぇ……」


ひとりごちたのが耳に届いたのか、ぴこぴこと耳を動かしこちらに振り返る。


『そんなにこれが気になるの？おにーさんっ☆』

「んまぁ、珍しいもんは気になるしな。」

『んっふふー❤』


小悪魔チック、と表現するのに相応しい含み笑いをしながらぴょこぴょことこちらに跳ねてくる。
ゆらゆらと揺れる尻尾が可愛らしい。


「ん、こっち来るとと匂いがつくぞ？」


態々追いやった癖に寄ってくる姿に思わず声をかける。
それでも制止の声にもひとつ笑顔を返すだけで無言のまましなだれかかってきた。
煙草の匂いの中にふわりと不思議な香りが漂う。香水とも違う様な……。

そんな事を考えてたら、ぎゅっと胸元に抱きつかれた。
そして、そのまま、空が、遠ざかり。あの子が薄ら笑い、遠ざかり。

「あぁ、クソッ……後一口吸っときたかったぜ……」

そんな状況で、俺は指から離れてどこかに行った煙草を探しながらぼやいた……



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言いながらお手上げのポーズをする。
だが言葉にしているほどはその態度から嫌悪の表情は見えない。

わけがわからずおろおろしている。

なにやらショックを受けているようだ。

しつこかった

　　軽い言葉に聞こえ、あまりまともに受け取っていないようだ

　　どう考えるかはもうそちらの勝手だと
　　念を押すように言った

　　貴女の顔をじっと見つめる
　　見つめる…というよりも、何かを察しとろうとしているようだ

トガノの雰囲気が若干変わる。
それに呼応したかは定かではないが…。

ハルの様子も変化した。
ただしこちらはトガノと違い、既に平常時のそれを取り戻しているようにも見える。

トガノは少々大げさにおどけた様子を見せる。

ゆえが球体のことに気付いたのを確認すると、ハルは球体を自らの周りをゆっくりと漂うように動かし始めた。

そしてトガノはハルの様子を気にするかのように数度目線を送りながら、棒立ちを維持している。

突然後ろから金色の毛をした狐が声をかけてきます。