戦った敵の中には、倒した後にエンブリオとして契約する事が出来る奴がいるのだそうだ。

仲間のレクシーダもシルフ以外に２体、グレンもイシカリ（シェイド型）以外に２体の
エンブリオと契約している。
その方が自分の力も増す事が出来るらしい。


オレはあんまり深くは考えてなかった。
何よりヒルダは結構強い技をオレに与えてくれていたし、仲間の戦力も大きいおかげで特に
困る事が無かったからだ。
しかしながら、ヒルダ１人に負担がかかる事も考慮にいれてもう一体試しに契約してみても良い
んじゃないかと言う気になった。

一揆に参加している連中の情報網ってのは結構役に立つもんで、何処にどんなエンブリオがいて
契約出来るのか調べ上げた情報はすぐに見つかった。
さて、いくつかある中で目にとまったのは小さな竜のエンブリオだ。

炎の力を持つ竜。
他のエンブリオではなくこいつが次の相棒にふさわしいのだと直感した。
なんだろう？　誰かがオレの心の中で囁くという感じがしてならなかった。

ただ…問題は生息地に行ったとして、コイツと出会えるかどうか。なんだよなぁ。

「オレはあんまり運が良くネェからな。
　それとも…オレが自分以外のエンブリオと契約するのはイヤか？」

オレの膝の上に乗って丸くなっているヒルダにそう聞いてみた。
ヒルダは何も言わずゆるゆると尻尾を振っている。
見たところヒルダの発する気は緩やかで拒絶の意はなさそうだ。



縁があればそうなる。なるようになるしかない。


何処かで聞いた言葉が頭をよぎる。
あれは誰がオレに言った言葉だっただろうか？