「飽きる飽きないっつう意味じゃあ、少し話は戻るが姉ちゃんが言った"世界"の揺らぎや
一揆それ自体にしても探求と発見の連続みてぇなモンだから
事の善し悪しは置いといてだが、何だかんだでまだまだ飽きそうにはねぇな」

「戦争、紛争なんかが分かりやすい例だと思うが
こういう事態が発生した際に二次的な被害を被る側ってのは大なり小なり出てくるモンだ。
俺がさっき言ったケースが当てはまるとして、ある意味相手もこっちも迎撃だからな。
…仕方ねぇとは言え難しい部分だ。城内に沸いてるアンデッドみてぇな連中の方がまだやりやすいぜ」

「姉ちゃんが見てきたエンブリオの実験とやらもだけどよ、残念だが既に変な事になっちまってっからなあ。
人間だったもの、人間のような形を取って発生したもの、人間の形に作り変えられたもの…ってトコか。
幾らか例外はあるが、大抵そういうヤツらは理性や知能は失われてたりするのがお約束だし
どの道"元"にゃあ戻せねぇだろうから速やかに始末をつけてやるのが情けってモンだろうよ」

「ああ、頼むぜ…じゃねぇか。俺も一応一揆衆だし。
姉ちゃんみてぇな事はできなくても、終わった時に胸張ってこうしたぜって言える程度にゃ気張らねぇとだな。
しかしまぁ、未だに先が見えねぇな…そろそろ現王の影ぐれぇは踏みてぇトコだ」

「へぇ、そういう連中とも行動してんのか？
俺ぁてっきり同レベルの猛者とガンガン先に進んでるモンだと思ってたが…攻略ついでの引率って感じか？
城内は勿論、王城側の管理する土地も相当広いし案内人の有無はデカいからな…」

「過度の備えは死蔵になるリスクも秘めてるしな。
しかし十分な備えができる状態にねぇ場合も多々あるし、備えあれば憂いなし、ってヤツだろう。
…ところで姉ちゃんはどんな状況を想定して、どう準備してるんだ？よかったら参考までに教えてくれよ」

「あぁ、体力と気力を同時に増幅させる能力とかあるって聞いたな…そういうのは作れねぇのか。
装備品の使い分けねぇ…確かに今後の事を考えると戦術の幅は広げられるだけ広げた方がいいだろうな。
しかしコレっつうモノが完成してねぇ側からすりゃ贅沢な話だ…まずは理想の一振りを完成させねぇとだな」

「オイオイ何言ってんだ、失礼でもなけりゃ気にもしてねぇぞ？むしろ嬉しいぐらいなんだがな。
何せ姉ちゃんの方からそういう冗談を言ってくれる程度にゃ距離が縮んだ…って事だと思ってたからよ。
ま、冗談飛ばし合えるぐれぇのお友達になるにゃあ後一歩ってトコか？」

「近頃は俺の手には余るようなえらく調理の難しい食材が出てきてるって話だから
そういうのを調理するんでなけりゃ大抵の料理は作れるぜ。使えってんなら使うが、流石に勿体無ぇしよ。
…ちなみに姉ちゃんの食事の好みは何だ？…やっぱワショクってヤツかい？」

「そうか…なら安心だ。姉ちゃんのくれた情報を元に俺なりに考えてみたが
推測が正しければ件の研究施設は現王に深く結び付いてるハズだ。
現王の尻尾は掴めなくても目的の一端ぐれぇは分かりそうな気がするし、期待してるぜ」