「ガシッ！ボカッ！」看板は倒れた。コロンビア（笑）

トリーの好奇心攻撃を受けているとき。
なんだか外野で何かが叫んでいるに気が付いたようだ。

気が付いたようだが、それどころじゃないようだ。

俺の威嚇に動じないとは大したにんじんだ。
だてに斑点をつけているわけではないということか。



ちなみに俺はにんじんは嫌いではない。



俺のいた世界で栽培されていた、やたらと真っ赤で、辛さが病みつきになる『レッドチリニンジン』も、毒毒しいピンク色をした、やたらと後味が残る甘さの『スイートピンクニンジン』も嫌いではなかった。

しかし、やたらと嬉しそうな顔で差し出されるこのにんじん。
これはどうしても受け付けることができない。




なんというか、『まずい』。

味以外ににもいろいろと『まずい』。
たぶん毒とかはいってる。身体に悪そう。



しかし、こんなに嬉しそうな顔で渡されたらただ食べないというのも悪い気がしてくる。


このエンブリオのいうとおりだ。食べれば食べるほどうまくなる。


そうだ、子供のときはあんなに苦手だったピーマン。


あごがひしゃげるほど苦い『ドレッドピーマン』だって、大人になって食べられるようになったじゃないか。


食わず嫌いはよそう。食べ続ければこの味も悪くないと気づくだろう。


いつかは大好物になって、あのとき食べて置いてよかったと思うときがきっと来る…。








……






























ブふぉ！！(吐血)

ものすごく胡散臭いものを見る目で押しつけられた人参と差し出したにんじんを交互に見た。
にんじん（動く方）はひたすらに怪しいがおしつけられたにんじん（動かない方）は普通そうだ。

エンジェルの定義が微妙に揺らいでいる。

その空虚さに思わず押し黙り、しばらく固まった後、

押しつけられたにんじん（美味しそうな方）をにんじん（美味しくなさそうな方）に放り投げた。
コントロールが悪いのでそのまま放っておけばにんじん（怪しい方）には当たらず、地面に落ちるだろう。

ぶちっ（千切る音）