ブランチマンは強かった。
　それはもう圧倒的に。
　あれを倒すにはまだまだ力不足である。


　この世界で力をつけるためにはエンブリオとの契約が必要だ。
　そのため、戦いに出るたびに戦力になってくれるエンブリオを探すわけなのだが。


「ほーらレイク、高い高い」

　この主ときたら、最初に敵として出会ったケット・シーが可愛いからと契約し、挙句の果てに人の名前をつけてしまった。

「猫じゃらしだぞレイク。楽しいかー？」

　主のすることだし異を唱えても「お前も可愛いから問題ないだろう」などと爆弾発言をする始末。
　まったく。

「私は可愛くなどありません……」
「んー？　なんか言ったかクラリス？」
「なんでもございません」

　……まったく。

ここで大声を出すのには理由がある。

１つは、己が心を奮い立たせるため。
もう１つは、相手の意をすくませ、隙を作るためである。

大気を震わせるほどの叫びは、まさに砂漠の大食漢ワームの雄たけびが如し。

これぞ砂獣闘法が一手。

地蟲大喝 (ちこだいかつ)