プロローグ



いきなり任務変更とはどういうことだ…？

ま、まさか祭器収集をサボってスイーツ巡りツアーをしていたのがとうとうばれてしまったのか…！？


どどどどどどうしよう…


い、いや…まだバレたと決まったわけでは無い！

そうだ、そもそも私がスイーツ巡りツアーをしたことを気付かれるはずはないではないか！

なぜならッ祭器収集の任務に就いているのは私一人のみしかいなかったのだから！



うむ！では心置きなくスイーツパラダイスを楽しもうか！




ピュイーンピュイーン


ん？こんな時に誰だ？


(from.Lilly Busterfeel)



姉上か…一体何用だろうか



「おはようございます、姉上。どのようなご要件でしょ…」



「おはようございますじゃないわよー。あんた、任務中にスイパラとは良いご身分ねぇ。」



「……ふぇっ！？」



嘘…な、なんで…ばれて…



「そりゃあんた、何覚えてないのぉ？…あきれた…昨日の夜自分で報告してたじゃない。」



き、昨日の夜？昨日の夜は報告なんかしていないはず…

確か一晩中、お酒を飲みながらケーキをつまんでいたくらいで…

そういえば調子乗ってボトル2本開けちゃったなぁ….

正直、2本目からの記憶が無い。

今も少し頭が痛いし。でも美味しかっ…うん？ま、まさか…




「あの、通信員の方なんかおっしゃってました…？」

「あぁ、なんかもうベロンッベロンッって感じで呂律回ってなくて聞き取るのに大変な労力を費やしたとか言ってたわ。」




……そういう、ことか。




「…私は一体何を話したのでしょうか。」


「もう全てよ全て。今後行く予定のお店からこれまでのイケメンランキングとかいうのまで。」


「あぁ…」


「果てには、アイナちゃんのスイーツ日記！(ポエム付き☆)なんてものを音読し始めた時は流石に参ったと言っていたわ。」


「…そう、ですか…日記まで…はは。」


恥ずかしい、恥ずかしさで顔が熱い。
あぁ…このまま死んでしまおうか。


「お父様ももうカンカンよ。まぁ、任務を変えられた時点であんたももう気付いているでしょうけど。」


「はい…」


「本っ当馬鹿ねぇ。はぁ…」


「…申し訳ありません」









「……お父様が、この任務を全うしたら許してやらないことも無いと言ってわ。」



「！！…ほ、本当ですか！？」



「本当よ。信頼を取り戻せるように頑張りなさい。」



「はい…っ！」



「じゃ、あたしはもう行かなくてはいけないから…頑張りなさいよ。」



「はいっ！ありがとうございます！」



ブツッ…ツーツー




私は馬鹿だったんだ…初めての異世界に浮かれてしまって…

バスターフィール家としての自覚を失っていた…

だから、こんな…こんな甘くて綺麗なスイーツなんかにたぶらかされてしまったんだ…！




こうしてはいられない！すぐさまメルンテーゼへ行かなくては！