「……うぅん。そーいう事なら、もっと早く教えて欲しかったよねぇ。」
「まぁそう言うな。警戒を怠ったオレ等も悪いんだしな……」



洞窟付近で荒ぶる毛玉（山羊？）に追い立てられ、山を下ってきたのは
ほんの数時間ほど前のこと。

逃げる前に、ディルの奴はちゃっかり鉱石を見つけて拾っていたらしく
依頼の遂行自体には、特に支障がなかったのが幸いだ。

鉱石を手渡す際に、依頼主から
『あの辺りにゃァ凶暴な獣がおるけぇの、よく無事だったもンだぁの。』
と朗らかな表情で言われた為、何も言えなかった。


───


「それよりも、腹減ったな。」
ひと仕事終えて、青々とした草地に仰向けにごろりと寝転がる。
疲れた体を撫でる風がとても心地よく、目を細める。

「そーだねぇ。んー、今日のご飯は何にしようかなぁぁ……」
寝そべるブランの隣にディルが寝転び、思い切り伸びをする。


『芋料理なんてどうかね。』


「あぁ、お芋いいね！煮ても焼いてもほっくほくで美味しいんだよねぇ♪」
「まぁ芋も良いが、どっちかっていうとオレは肉が……　ん？」


ブランがふと頭上を見上げると、そこには見覚えのない
マッチョな芋（？）が爽やか系笑顔で二人を見下ろしていた。


『では、お望み通り……　私がお前達を料理してやろう。』