数が多いだけだった魔物たちを退け、戦闘態勢を解く。
同じく戦闘態勢を解いたソウハに視線を向ける。
やはりあの術式は負担が大きいのか、ソウハは額に汗を浮かべて肩で息をしている。
ここのところ、とくに苦戦もなく戦闘に勝つことができているのはソウハのこの術式の影響が大きい。
だが毎回この負担をかけて、果たしてソウハがいつまでもつのか・・・。

せっかく作った術式を「使うな」と言うわけにもいかず、適当に誤魔化す。

焚き火の前に座るソウハにシチューの入ったお皿を渡すと、「おいしいおいしい」と言って食べてくれた。なんだかむずむずする。
戦闘直後は満身創痍だったソウハだが、食事が喉を通るのなら少し安心だ。
おいしそうにシチューを食べるソウハを眺めながら、アラヤもシチューに口をつける。少しだけおいしく感じる。

上手く誤魔化せていない気がする・・・。

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次の日。

早々に移動の準備を済ませる。
ソウハはすっかり回復していて元気そうだ。
一時的な魔力不足は充分休めば回復するのはわかっているのだが・・・。
ソウハのあの感じはどうにも不安になる。

アラヤがそんなことを考えていると、ソウハが駆け寄ってきて手を握る。
どうやら出発のようだ。
・・・今までは一方的に手を握られていただけだが、なんとなく手を握り返してみる。

こんなことで一喜一憂するソウハを見ていると少しだけ・・・ほんの少しだけ幸せになれた気がした。

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見渡す限りの緑の大地を歩く。
開けた場所なので空を飛べば早い気もするが、なぜか歩いている。
そういえばソウハは翼があるのにあまり飛ばない。
飛ぶと疲れるのか、それとも単に歩くのが好きなのか・・・。

探知の術式が反応した茂みを薙ぎ払う。

茂みから慌てて出てきたのは昨日の魔物たちと同じ種類の魔物たち。
と、みすぼらしい子供のような・・・。
あれは昔見たことがある。
たしか貧乏神とかいう、とり憑いた相手を不幸にするとかそんなやつだった気がする。
名前に「神」とついてるが、本当に神かは怪しい。
他の魔物と一緒にさっさと倒してしまおう。

隣で身構えるソウハに視線を向ける。

できるだけ無理はさせたくないが、敵は待ってくれない。