ケット・シーの名前を考えだして早数日経った。
流石に佐藤さん（仮）のまま通すのも不便だし、いっそこのままネコとつけてしまおうかとも思ったが、(´・ω・`)するどころか今度は威嚇してきた。
またもや気に食わないらしい。


心なしかヌイがケット・シーに同情の眼差しを向けている気がした。
見た目そのままの毛玉より佐藤さんの方がまだ名前らしいじゃないか。


……ミツにも言われたけど、名づけは苦手だ。


……自分の名前は、既に亡くなった母がつけたと聞く。
どういう意味を込めたか聞けたなら、少しはマシなものも思いついただろうか。


ふと、名前ではないが、俺の姓名はある学者と同じだと、父が話してくれたことを思い出した。
確かに、数少なく入った父の書斎で、そういった著者の学術書が並んでいたのを覚えている。
難しくて内容は理解できなかったが、そういえばそれらの中に、猫に関するものもあった気がする。

ふと思い出した父の姿に、少々の寂しさを覚えながら、ケット・シー──シュレーディンガーの頭を撫でた。

嬉しそうに鏡をみている。相当気に入ったようだ。

クリスティーナにつつかれ、ようやく口を開き。