前回までのまとめ：
私のお嬢様を探そうとした所で、お嬢様（仮）が何か言いだしましたよ？

「呪い、ですか？　……その、花が呪いだと？」
　聞きなれない言葉に繊手が触れる花を見る。
　一瞥した所で、普通の花との区別は付きそうにもない。
　この世界で初めてまともに言葉を交わしたこの女性は、花を身に宿す種族かとも思っていたがそうではないらしい。
「——生憎と私は呪術に精通はしておりません。しかし、不肖ながらこのヒューバート、お嬢様(仮）の望みとあらば微力ながらもお手伝いさせて頂きます」
　胸に手を当てて一礼する。笑みと共に顔をあげると、微笑みが返ってきた。

（——萌えませんね。）

　美女の微笑を得た満足感に浸りながらも、いまいちノリきれない心情を不思議にも思う。
　見上げてくる角度も頬笑みも完璧。
　あらゆる意味で心地良い距離から向けられるそれに、思わず微笑み返さずには居られない。
　ただ——そう、完璧過ぎるのだ。
　新たな発見は玩具を見つけたそれに似ていた。
　思わずつり上がりかける口許もそのままに、いっそ綻ばせて傍らを見下ろす。

「——さて、イヴお嬢様(仮）。そろそろ装備の見直しを行った方が宜しいかと愚考致します」

据わった目でブツブツと呟いている。

ニコ、と笑った顔のままイヴをガン見しだした！