(本日は水着回)

二度の敗戦・敗走という苦汁を味わった険しい護りの森も、一旦という形で出口が見え始めた。
敗北は辛い経験だったが良い経験にもなった。それに新たな仲間であるリューンとの出会いもあった。

若干髪を引かれる気を感じつつもボク達は森の出口を潜り抜け、次なる場所へと進む。

森を抜けたそこは、森を入る前と同じく手入れが行き届いた彩色く花の花壇が並ぶ庭園だった。



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 （毛玉御一行）
……ちなみに襲ってきたキラーインコは、あの後スタッフ達が美味しく頂きました。

スィーの一言で、騒いでた二人が「「はい。」」と一瞬にして大人しくなった。
どうやらボク達の中での力関係ではスィーが上の様だ。

……矢張り年長者なだけはあるな。うん。

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　 〜　閑話回 ：海水浴？　〜

──青い空。白い浜。
そして……

リューンの大きな歓喜の声が響き渡る。
ボク達、毛玉御一行は夏の海辺にやってきた所だ。巷に言うサマーバケーションである。

初めて見る海に純粋にはしゃぐリューンの姿に、後ろから眺めるスィーがクスリと微笑む。
その光景は、まるで親子のよう……いや、何でもない。
何かを感じたのか、スィーがボクの方を横目でじぃーと見ている。が、気のせいと思ったのかすぐに視線を海側の方へ戻した。

真夏の太陽が燦々と照らす白い砂浜には、同じく夏を満喫しにきたであろう一揆参加者の姿がちらほらと見えている。

ビーチパラソルの下で寛ぐ人。海で泳いだり水の掛け合いをしたりしている人。
砂浜でビーチバレーをしている人。食材をバーベキューセットで調理する人に食べる人etc……
色んな人達がこの海で夏の一時を満喫しているようだ。

しかし海に来たのは良いのだけども、こうも燦々照りだと毛皮の身だと暑くて敵わない。
ボクは少しでも身体を冷やそうと、冷水が入った水筒を取り出すと口に水を含めた。

喉を潤そうと水を含めた直後。唐突な一声と共にリューンは着ている服をその場で脱ぎ始めた。
急に目の前で脱ぎ始めたリューンに、ボクは口に含む水を壮大に吹きそうになる。
そうだ、この子はこういう子だった！？

スィーもこれは予想もしてなかったらしく、驚いた顔でリューンを止めに入る。
ギリギリあと１ボタンという所で、スィーの迅速なる滑り込みにより何とかリューンの痴態を晒さずに済む事が出来た。

説教を受けて涙目のリューンは、やや呆れ気味のスィーに色々教えられながら何処かへと連れられていく。

その場に一人残るボクは到着早々からしてやや不安を感じながらも、
とりあえず気分を入れ替えて彼女達が戻ってくるまでにパラソルやら立てて場所を確保しておこうと移動する。

…………あ、そういえば二人とも水着って持ってるんだろうか。

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場所の確保とパラソル立てにシート引きという一工程を終えて、
パラソル下の日陰でのびのび寝転ぶボクの後ろから何処かへ行っていた二人が水着姿になって戻ってきた。

先程までの普段の二人とはまた違う雰囲気に飲まれてか。ボクは二人の水着姿に見惚れてしまう。


スィーの方は、明るい薄緑のひらひらフリルが特徴のフリルビキニという水着だろうか。
やや子供っぽさのある水着だが、普段の彼女とは違ったイメージが中々に心を擽る。

……とある部分が少々控えめな所もあるだけに、結構良く似合った水着だと思う。


そしてリューンの方は、爽やかな青色のタイサイドビキニという水着だ。胸元の青いリボンがアクセントだろうか。
スィーの水着と違い露出面が多いせいか。普段のリューンからは想像できない妙な色っぽさを感じさせる。

……しかし、大きいな。何がとは言わないが。

ぴょんぴょんとリューンが可愛く跳ねる…………大震源っ！！

過剰ともいえる圧倒的な戦力に、スィーがものの見事に打ち拉がれた。

……妖精でも、そこら辺の事情は普通の女の子と全く変わらないんだなぁ。
なんて事を思ったボクは苦笑しながら、膝を抱えるスィーを暫く励ます事で何とか元の機嫌に戻ってくれた。

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夏の海といえば、色々あるが定番として言うならば矢張りやる事は一つ。
そう、それは──

海といえば、定番の一つであるのがスイカ割り。
目隠しをして、周りの指示を受けながら、スイカの所まで行って一刀両断チェスト！…という伝統的な海の遊びの一つだ。

リューンが目をキラキラ光らせてスイカ割りをやりたいとボクに引っ切り無しに急かせる。
だが待って欲しい。実は……その肝心のスイカが今ここに無いのだ。

リューンはスイカが無い事実を知ると、ショックの余りにその場で倒れ込む様に四つん這いになり壮大に落ち込んだ。
オーバーリアクション並のこの落ち込み様にボクは少し罪悪感を抱く。

しかし待って欲しい。、実は話にはまだ少し続きがあってだな。
……スイカは無い。スイカは無い。が、何故かメロンがここにある！

よって、スイカ割り改め第一回メロン割りを開催する事をここに宣言するっっっ！！！！

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……後で考えれば、これが悲劇の始まりだったのかも知れない。
更に言えば、『妖精だしメロンより少し小さい位から二人纏めてやってもいいんじゃないか』
『いざという時の指示とかの練習にもなりそうだし』…なんて安直的な考えが拍車を駆けた。

………真っ直ぐ、そのまま真っ直ぐ……そこ！
ザクッと刺さる音が聞え、見事な突きによる一撃がメロンの上部へと突き刺さる。

やったー！と、メロンに一撃を加えたスィーが嬉しそうにはしゃいで喜ぶ。

ただ、本人が喜んでいるから別に良いのだけど……何故『突き』なんだ……。
しかも無駄に対象に対して飛翔からの頭上一点撃。見事なヘッドショットである。
ストレスでも溜まってるのだろうか……少し労わってあげないと。

さて、スィーがメロンを討ち取ったので、次はリューンをメロンのある方向へ向かわせなければ…と、口から軽く溜息が零れる。

指示の通りに的確に動くスィーと比べて、リューンは如何にも方向音痴の質でもあるのか。
何度も親切丁寧に方向を指示するが、全く持って見当違いの場所へと向かおうとするからだ。
右と言って左に行こうとする。前方といって上空に飛んでいくのは多分、彼女位だろう……。

どういう指示を出したらメロンがある場所まで辿り着くのかな…。
頭を悩ませながら先程までリューンがうろうろしていた箇所に視線を戻す。

……しかし、そこにはリューンの姿は何処にも無く。見える限り砂の浜だけしか無かった。
何やら嫌な予感を覚え、周囲を見渡し、空も見渡すが、リューンの姿は何処にも無かった。

──リューンは一体、何処に消えたんだ？
その疑問は、今から僅か10秒足らずであっさりと解決する事となった。

メロンがある方角からスィーの何かを叫ぶ声が聞えたと思うと、
突如として頭上に衝撃と痛みを覚え、ボクの意識はそこで途切れてしまった。

結論：保護者は子供(?)から目を離さないようにしよう（戒め）

ちなみに気絶はしたものの、軽いタンコブが出来た程度で済みました。

黒猫、躊躇も容赦もせず、目の前に落ちてきた翅生えてぴえぴえ鳴く獲物を一口で丸かぶり。をい。

ほっぺの中で『食べないでええええぇぇぇっっ!!!!』って聞こえるけど気にしなーい。

と、まあ、泣くだけで逃げるとか戦うとか助けるとかしなければこうなってしまいますので。
必要とあらば時間を巻き戻して、スィーちゃんリューンちゃん毛玉さん、生き残りがーんば♡