業務命令

一揆における外部人員の能力調査。
可能な限り多く、綿密な調査を行う事。

なお、危険手当、治療費の増額予定アリ。
詳細は添付の書類を確認する事。

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「………………………………暑。」
額から流れる汗を拭う。
うだるような暑さ、とはこの事を言うのだろうか。
世間様ではサマーバケーションと大騒ぎ。

…あれ、今ここって若干戦争状態なんじゃなかったっけ…。

現実逃避しなくてもそう考えてしまう。
今頃水辺では水着を着た一揆の参加者達が大騒ぎだろう。

自分は…と考えてため息をついた。
仕事の虫というか、なんというか。
ため息一つついて、額と首筋にに張り付いた髪を払った。

「…私も少し休んでいいか…。」

・
・
・

パーティの連中に断って、海沿いの小さな林の中。
木陰は日向よりだいぶマシだな、と思う。
故郷ではなかなか味わう機会のない事なのだが…。

スーツの上着を小脇に抱えて、休めそうな場所を探す。
しばらく歩くと、林の規模に似合わない樹に出くわした。

「…へぇ。」

何年規模だろうかと見上げ、思わず声を上げた。
写真や映像データで見たことはあるが、実物を見るのは初めてだ。

「ちょうどいいか。」

ここで休ませてもらおう。
そう決めて、木陰の湿っていない場所へと腰を下ろした。
さわさわと風が葉を揺らす音、虫や鳥の鳴き声だけが響く。

「……はぁ……涼し。」

抱えていた上着から手帳だけを取り出し、ぽいっと空間の倉庫に放り込む。
ついでにネクタイも外して、シャツのボタンも上の2つを外して少し気楽な姿になる

。

さて、と一言呟いて手帳からボールペンを外す。
それを使って手帳のページに書き込み始める………。


・
・
・
・
・


さわさわ。

「…ん。」

重い。
最初の印象はそんな感じ。

ぼんやり。
次の印象はそんな感じ。

あぁ、と思い立った瞬間に視界が翳った。

「よく眠れるものね、こんな場所で。」

自分の立場が分かってる？といわれる。
聞き覚えのある声。
見上げると、見覚えのある銀髪と蒼い目が無表情に見下ろしていた。

「……今は非番なの。」

くぁ、と欠伸の出た口元を抑える。鼻で笑われた。
どうも気づかない内に眠り込んでしまったらしい。
…それなりに疲労していたということか。

少し落ちかけていた眼鏡を直し、改めて目の前の少女を見上げる。
多少見慣れた狐の耳、尻尾。水着。……………水着？

「……何よ。」
「……別に。」

思わず視線を逸らした。
随分と可愛らしい事ね、と考えていると憮然とした表情で隣に座り込んだ。

「ヒメがどうしてもっていうから付き合っただけよ。勘違いしないで。」

心の声に返事をされる。
まだ少し慣れない感覚……気楽ではあると思っているが。

「殺しに来た……というわけでもなさそうね。」

返り血浴びてあの子のトコに行くわけにもいかないか、と考える。
ふん、とつまらさそうに鼻を鳴らされた。
とすると、

「休憩？　私と変わらないじゃない。」

結局、同じ穴の狢であった。
性格、やり口はともかくそういう好みは幾分、共通点があるというか。
わからないでもないが。
よく見れば少し日焼けをしているような…。
大方、姉妹分に朝から付き合わされたといった所だろう。

「いいじゃない、たまにはそういうのも。その水着も可愛いわ。」
「………うるさいわね。」

ツンとした表情でそっぽを向かれた。
正直な子、と考えると思わず少し笑みが漏れてしまった。

相変わらずさわさわと流れていく風が、静かに葉を揺らす音だけが響く。

会話はするけれども、互いに沈黙が気にならない性格だからか、
こういう時は気が楽で、ありがたいとも思う。

手帳をぽいっと空間の倉庫に放り込み、樹木に身体を預ける。
静かな音と、日向よりも低い気温が心地よい。
このままでいるとまた眠ってしまいそうだ、と思う。
だが、それもいいか、と考える自分もいる。

「……殺されたいの？　今なら簡単よ。」

ぼそり、と呟かれた。勿論そんなわけはない。
ここ最近にないくらいリラックスしているとは思うが。

「まさか。………信用してるって言ったら？」
「…………ふん。」

大体予想通りの反応。
少し満足して、ゆっくりと目を閉じる。
はぁ、と深呼吸し、森の香りを胸いっぱいに吸い込み、もう一眠り…。


「ルナーーーーーッ！　遊ぶのじゃぁぁぁぁーーーーー！！」


森の外からやたら元気な声が響いてきました。
思わず、ク、と喉の奥で笑いを押し殺す。
横を見るとちょうどため息をついている所だった。
心なしか、狐の耳がほんの少したれ下がっているようにも見える。

立ち上がった狐耳の少女に手を振って送り出す。
もしかしたら、私自身少し笑っていたかもしれない。

「…休暇ね…。」
「うるさいわね、本当に殺すわよ。」

それだけ言い捨てて、月姫は去っていった。


どっちが休暇で夏休みだったのやら…まぁ、私はもう少しここで涼んで行こう。
そう決めると、もう一度目を閉じる。


今日一日くらいはこれでもいいだろう。
さて、夜はどうするか。

そう考えながら、再び静かな暗闇に落ちていく——————。


[SummerVacation！！]

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なお、この日記には
ENo.251 月姫＝彩洛さん
ENo.1714 陽姫＝彩洛さん（ちょっとだけ）
をお借りしております。ありがとうございました！！

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> use option: NYPHN code2, GOPHN code3
>
> -- ready --

声と共にヘクスが晴れ、曖昧になっていた姿が顕になる。

緑色のヘクスが全身を覆い、また晴れる。
そこには元通りの男の姿。

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声と共にヘクスが晴れ、曖昧になっていた姿が顕になる。

緑色のヘクスが全身を覆い、また晴れる。
そこには元通りの男の姿。