ある世界に存在する大辞典の記述を参照すると、一揆と（いっき）とは、
「何らかの理由により心を共にした共同体が心と行動を一つにして目的を達成しようとすること」
または
「そのために盟約、契約を結んで、政治的共同体を結成した集団及び、
　　これを基盤とした既成の支配体制に対する武力行使を含む抵抗運動」
という事になる。

対国家・対組織などの構図が浮き彫りとするとおり、抵抗側は抑圧側に抗し得るだけの
大規模である必要があり、そのため一揆はしばしば国家レベルの大闘争と化す。
勿論その期間もまた、規模に従って拡大するのだ。
1日か、1週間かはては1ヶ月。稀有な例だが、長いものでは数年続いた事もあるという。

翻ってこの一揆はどうだろう。
規模はもはや全世界。世界の枠組みすら超越し、王政側の揃えた手駒は
人間以外を巻き込んでいるため、種族の壁すら意味をなさない。
少なく見積もっても、不変的な国家構造における一揆の数倍の規模、
　そして年月を費やす事になる筈だ。

24時間戦えますか。当然戦える。　同様に、一週間であれば耐える。
だが一月つづけば弛む。1年が見えてくるならば、其処には緩急が必要になる。　
人間は常に気を張っていることは出来ない。　戦うべきときを戦ったら、休む時間を作って休むのだ。
無論休日などないのでローテーションとなるが、
それでも僅かな時間を見つけて、命の洗濯に勤しむのは明日を戦い抜く上で重要な事。
前線を離れれば、休息や遊興に身を浸す闘士たちの姿があちらこちらで見えるかもしれない。


・・・・なにがいいたいかってーとあれだ。
モルトの所属する「青空ガーデンティーパーティ」恒例のお茶会も、決してサボりでもなければ無駄でもない——
そういうことだ。
砲火後ティータイムとは誰が言ったか、殺しの後はリラックス。
親睦を深める効果もあるが、集団の今後の方針など、飲茶の合間に重要な会議が行われる事もある。
どれだけの活動をするか、どれだけの支援を取り決めるか。そして、何処へ行くか。

一揆は水辺にまで拡大しているが、そういう話ではない。
切り出したのは休憩の事。　つまり一休みする場所、についてだ。

メルンテーゼの気候は非常に温和かつ理想的であり、得意な地形に足を踏み入れぬ限り住みやすい場所だが、モルトの出身たる楽園世界アイオネラと比べれば過酷以外のなんでもない。
タフで無神経なように見えて、最も状況のに脆いのがモルト、というわけだ。
故に、真っ先に余裕の消費を求め始めるのは、常にこいつなのである。

ハプニングを提供し続ける性質でもあるのだが——此方は世界柄ではなく元からの性格。
矯正には時間が掛かりそうで、ある。