ヒトを相手にするのは。
いつだって覚悟が要た。
軍に入り、やがて部下を持ち、一隊を率いるようになってからは、尚更だった。
ヒトを殺すことに対する迷いは、戦場の中で麻痺していったが、迷いがあれば余計な覚悟を必要とする。
……自分の仲間が死ぬ可能性が上がる、その覚悟が。

再戦を挑んだ兵士を下し、存分に暴れ力を揮えて満足げなエリュムは、喪った仲間に似ている。姿こそ子どもだが、その顔立ちと髪が妙に。
偶然だとは思うが、その事実が当時の覚悟と、迷いのなさを呼び覚ます。それと、旅路の連れであるルアン婆さん。
一人旅の頃は割と自暴自棄な行動と戦い方をしていたが……これからは少し考えなければならないだろう。