星屑の小川から帰ってきたメープルは、ベッドに倒れ込んだ。

ベッドの上にうつ伏せになって、今後のことを考える。
新王を倒すために一揆に参加したはいいが、まず戦いに慣れていないため、一人きりだと道中で倒れてしまう可能性があることは否めない。
それは、前々回の兵士戦でも思い知ったはずだ。

一揆に参加するまでは人とあまり関わらずに過ごしてきたメープルにとって、他人と協力するという選択肢は今まで思い浮かばなかった。

エリィの言葉で、新王により花畑が荒らされた日の感情が蘇ってきた。何としてもネクターをメルンテーゼ全土に返さなくてはならない。
今の私には、協力する仲間が必要だ。
だが、あてがない。
寝返りを打って天井を眺めていると、ふと、2人の顔が脳裏に過った。
「坊ちゃん」と呼ばれている迦楼羅とその従者・グノウだ。
彼らは元の世界に帰りたいと言っていた。方法が分からないと。
そういえば、一揆に参加するとも言っていた。
2人は今、どこにいるのだろうか。帰るヒントはもう見つかったのだろうか。

下方からの視線に気づき、其方を見遣れば。
此方を見上げている少女に気付いた。

君もですか？と少し身を屈めて首を傾げる。

少女の言に慌てるのを止めて頷き、安堵したように笑みを浮かべるも、
故郷の話には痛みを覚えたように目を伏せ。

ありありと思い出せる風景に悲痛そうな表情を浮かべて、ぽつりと呟くのがやっとで。

知らず握り締めた拳に力が入ったが、少女の言葉にはっとしたように目を瞬かせ。

嬉しそうに微笑むも少女の身を案じて、そう告げ。

迦楼羅はグノウに褒めて欲しそうに其方を見ている▼

山道に看板がポツンと立っている
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