■メルンテーゼに来て１００と１日目

お前は馬鹿だから日記でも書いてろ。
確かに物覚えはよくないが、そう言われた事だけは覚えてる。
まあ確かにその通りでもあるので、この新しい世界での出来事を綴ってみよう。

そう言ってページをめくると、９割同じ内容の事が書かれた前の世界の日記があった。
……ま、いっか！

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今日も見つからなかった。
当然だろう。まだ、“抱えきれないほど”には届かない。

自分で言うのもアレだが、少なくとも頭の良さとやらに自信はない。
生贄だか何だかの儀式に生き残ってた事から、魔法の耐性があるのでは。と期待されていたのも昔の話。
まあ剣の方が自分でも向いていたし、好きではある。

けど、エンブリオとやらと契約ができた。
これはつまり、俺にも魔法の才能があったんじゃないだろうか。
そう思って、契約直後に無性に誰かに見せびらかせたくなったが、褒めてくれる人間もいねぇ。侘しい。

というか、……あれ、そもそもこれ、誰でもできてる？って気づいたのは数日後だったけど、まあ何か今日も頑張ろう！

何が目に留まったとも知れぬ。
ただ少し考え込む素振りを見せたのちに、あなたへと言葉を投げる。

ただそれだけの、不躾な一言。
色の違う双眸が、笠の奥に鈍く光った。