ここは城壁から程近い森の中。

鬱蒼と茂る木々の合間から、時折思い出したかのように
木漏れ日が差し込む以外は、とても薄暗い。
今は日が昇っているせいか獣の声はなく、とても静かだ。


「薪集めー、まっきあっつめー♪」


鼻歌交じりに、枯れ枝や木片を拾い集めるディルを横目に
ブランは大きめの切り株に、のっそりと腰を掛ける。


「んもー、ブランも手伝ってよぅー」
せっせと薪を集めながら、そんなブランをディルが見やる。

「オレは今忙しいの。」
「お前さんが迷子にならないよう、見張るので手一杯なの。……クァァ」
そんな言葉は大きな欠伸とともに。

「…ッほら、むくれてる暇があるんなら手を休めるなよ」


───


頼まれていた薪も大体集め終わり、そろそろ戻ろうかという
そんな折のこと。


「……うん？」


視界の端で、何かが光ったような気がした。
ふと顔を上げて、きょろきょろと辺りを見回してみる。
……が、目に映るのは草木ばかり。

「…ん、どうした？」
首を傾げるディルに、半ば閉じかけていた目を開ける。

「今、なにかが光った気がしたんだけど……」
困惑気味に目を合わせると、ちらりと気になっている茂みを見やる。
しばらくその茂みを警戒するが、何も出てくる気配はない。


「……ほら、日が落ちる前に戻るぞ」
ふぅ、と溜息をつくと、ブランは重い腰を浮かし大きく伸びをする。
その動きが、ぴたりと止まる。

目の前の茂みを見たまま、ディルも動きが止まる。
かすかな草の音を立てながら、何かが出てきたのだ。


それは、きらびやかな光を纏った一匹の妖精だった。

山道に看板がポツンと立っている
『作製依頼募集中ニャ。詳細は取引掲示板へGo!!ニャ』