>>>庭園
　>>>ボロ布の女が睨みつける目の前
　　>>>サングラスの男

　……いやわかった！確かに君に内緒でコトを進めたのは私が悪かったよ。平原に棲む大型狼の“追い込み漁”。その為に最低もう一人人員が必要だったんだ。

　……しかしねヨネアくん！確かにアリスくんは少々個性的ではあるけどね。“電波女”はないんじゃないかねッ！ほら彼女も悲しそうな顔をして——あれどこ行った？姿が見えない——あァそうだ。きっと蔭で泣いてるんだろう。君のせいだよ！罪悪感を感じたまえッ！
　いいかい、彼女は彼女の独立した世界を守っているだけで……月の裏側は見えないだけで、確かに存在してるんだよ。君の態度はちょっと狭量じゃないかねッ。
“月の裏側”……意味がわからない？というか私の意味がわからない？いやね、私は本当に君の為に考えているのだよッ。今回のことだってそうさ。否定が君の目的なんだろ？それ自体には別に興味は無いし、というかむしろちょっとした怒りも湧くけども、私はその目的に協力するつもりで君をルリアンナ嬢に紹介したし、それは今のところ良かったろう？ゆう子君たちと協力できたのも。兵士も三人、まあ仕留められたわけだしね。あれは随分楽しそうだったけど、何か思うところでもあったかね？ああいや睨まないでくれ。特に理由は無いんだねッ！わかったよ！いやまったく、サングラスが無かったら平静を保てない怖さだよ！
　ともかくね。私は君に興味があって、付いていこうとしている。その見返りに協力を惜しまないのが私の行動指針で、そこに嘘はないよ。もし君が私に価値が無いと断じるなら捨ててしまえばいいわけで、私はそんなヘマはしないよ。君と君の神が私の目的への道となるような直感がしているのだ。目的？それは神殺し——あ違う。いや何も。聞き間違えじゃないかねッ？斧をおろしてはくれないかね。早とちりと誤解で殺されてはたまらないよ全く！
　……君は君の神が真理だという。ある程度正しい気はしなくもないが、同行するのはね、私にはその真偽はつかなくて、判断をしたいが為なのだ。死ねばすぐにわかる？馬鹿かね？真偽がつかんと言ってるだろうに。……だから斧はおろしたまえ！いやはや、アリスくんの邦訳が狂気なら、君は太陽と戦慄だね。太陽というのはつまり君が言うところの君の神だが。いやこっちの、私の世界の教養の話だよ。聴くかね？ほら——あ、しまった。プレイヤーは壊れて久しいんだったな。というかこの間、君の斧撃で粉々に砕けたんだったね。ほんとに謝ってほしいよ。あ、待ちたまえヨネア君ッ。どこへ行くのかねッ。狩り？私には付き合いきれないって？アリスくんがまだ戻ってきてないんだよッ。一人は良くない、待ちたまえッ——待て！

　……全くなんと社交性の無い娘だろう！アリスくん！どこにいるかね！出発するよ——返事をくれたまえ！アリスくん！アリスくんーー！おーーーーい！？


　……。
　……あっ！
良く見たら道の遥か先にそれっぽい影がいるなッ！
なるほどなるほどッ。そういうことかなるほどッッッ！





　待ちたまえよ！もう！！！！！！！