僕の存在意義は神様の望む『何か』を創る事。
先代達も同じ使命を持って自らの生を捧げたし、僕もそれを最も重要な事としている。

でもそれだけを目指すというのは非現実的だ。

何故ならこの世界は自分だけのものではなく、何かの形で他のモノと関わってしまうからだ。
もちろんそれだけではなく、他のモノと関わる事で自分の中に新たな可能性を与えるという目的もある。

どちらにしても僕達は自分の使命の為に内に籠るだけでなく、外部と接する為の能力を鍛える必要があった。
そういった理由があり、僕は今日も日常の鍛錬に励んでいた。

そんな僕の隣でふわもこが掛け声と共に身体を動かしている。
よく見ると突きや蹴りを出している様な動きを見せている。

連続攻撃(のような動き)の後、ふわもこは気合を入れ、そして高く飛び上がる。
いつの間にかふわもこの背に妖精の羽のような物が現れており、羽の推進力でさらに高度を上げる。
そうしてかなりの高さまで上昇した後、今度は急降下を始めた！

白い身体は一陣の白い軌跡を描き、勢いよく地面に突き刺さる。

フィニッシュを決めたふわもこは満足げに一息つく。

僕は拍手をしながらふわもこを褒める。

ふと思いを巡らし、その技が同行者であるシュウスケさんの決め技『シルフストライク』の動きに似ている事に気付いた。
そういえば思い返すと、今日のふわもこの動きはどこか拳や蹴りといった格闘のような動きをしていたような気がする。
どうやらふわもこの中ではシュウスケさんがブームらしい。

戦闘時の変身、戦いの立ち回り、決め技と華が多く、そして強い。
一緒に戦っていると非常に心強い人だなと思う。


そういえば、先代の中にも己の身体を以って戦う人が何人かいた。
その中でも特に打撃に特化していたのは『拳聖』と呼ばれた26人目——ジェイク＝ローガンだ。



〜・〜・〜・



[No.26:Jake=Logan]


他の肉体派先代とは異なり、彼は技を磨くといった事にはさほど興味を示さなかった。
彼は己の肉体によってどこまで強い攻撃を放つ事が出来るかを目指したのだ。


彼の日常は己の身体との対話であったという。

——常日頃から自分の身体の様子を観察し、可能な限りその向上に努めた。

——常日頃から自分の身体の動きを顧み、より効率の良い所作を模索した。

——常日頃から自分の身体の未知を探り、自分の限界を突破しようとした。


そうした人生を過ごした結果、彼の身体能力は人のそれを大きく超え、
彼の拳は刃も通さない堅甲な鉱石をも打ち砕き、彼の蹴りはすべてを受け流す風さえも切り裂く程にまで昇華された。

しかしそれでも彼自身はまだ届いていない領域があると思い続け、結局最後までそれは変わらなかったのだ。

彼は最後に『人の可能性は途方もなく深い所に眠っているようだ』と言い残し、その人生を終えた。



〜・〜・〜・



彼が残した、自身の肉体向上の知識は後の世代に大きく役立った。
しかし、知識をもってしても彼ほどまでにそれを昇華できる者はいなかった。
これによって知識だけでは到達できない領域があるというものを僕達は改めて知らされたのだ。
そして僕達が目指す処はその地点のさらに先にあるんだろう、と思う。



〜・〜・〜・



次の日。
僕達は一揆の名の下、草原を進み続ける。

幾許かして出会ったキラーウルフ・マッスルポテトの集団を相手にすることとなり、
僕達は戦いの態勢を取った。

そんな様子を小さな影が息を潜めて見守っていたが、戦闘に気を取られていた僕は気付くことができなかった。

エリーにじゃれついているようだ

フェアリードライバーのバックル部分を展開すると、電子音と共に穏やかな光を放ち始めた。

フィリアスから宝玉を受けとり、バックル部分にセットする。
シュウスケの全身に強化骨格が瞬時に転送され、戦闘準備が完了した！

フェアリードライバーのバックル部分を展開すると、電子音と共に穏やかな光を放ち始めた。

フィリアスから宝玉を受けとり、バックル部分にセットする。
シュウスケの全身に強化骨格が瞬時に転送され、戦闘準備が完了した！