言って零落を追い払おうとしたこの青年、名をヘクターと言うらしい。
聞けばここメルンテーゼにあるという辺境、フリント領の長男坊だとか。
なんでも今回の一揆において異世界から参戦者を呼び寄せること自体に懐疑的のようで、彼、零落が異世界人であることがわかった途端、彼への態度を冷淡なものに変えた。
こういった手合いは頑固で意地っ張りというのがどこの世でも常識である。
さっさとこの場を離れ、別の情報収集は別の相手を探したほうが効率的だろう。

と、なにやらこめつぶたちが騒がしい。
何事か起きたのだろうか。

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ということがあって日報を付けるのを忘れていたのでまとめて書きます。
2日目は水辺で、3日目は平原でそれぞれ戦闘を行いました。
PTというものを組んで戦うというのは少々慣れが必要なようです。
この世界では特にエンブリオと契約しているか否かが重要で、極端な話、同行者は世界のルールにおいて戦力としてカウントされていない、様子。
私たちは登録した4名の他に数人の同行者、シンシアさんのところの瑠璃紺さんにシイナさん、シルフィさんのところのイリスさんなどがいらっしゃいますが、彼女たちは基本的に戦闘に参加することができません。場に出ても攻撃は当たらず、届かず、狙われず、認識すらされないという、自分でも書いててよくわからないのですが、そういう除外ルールが在る場で戦うことがルールになっているようです。あと、もともとエンブリオっぽいパンダや魚やこめつぶくんたちは除外して数えています。
ただし一応、エンブリオとして契約さえしてあれば登録者の指示に応じて顕現し、力やスキルを行使することができるようになるため、我々の戦力は登録者単位で力を発揮することが許されているようだ、と表現しておきます。本当によくわからないですね。

さて、ともかく2日目の水辺ではマーメイド、人魚のことです。本当に人魚がいる世界があるんですね。たちと戦闘を行い、3日目の平原ではアメーバと筋肉質のじゃがいもと黒猫と戦闘しました。
嘘を書いているわけではないです。信じてもらえないかもしれませんが、人の腰ぐらいまである大きさの浮遊アメーバと、全身タイツを着た筋肉質の大男を倒したら割れて、本当に中身がじゃがいもだったのと、二足歩行する黒猫でした。なんだか泥沼な気がしますが、一応すべて本当のことなので書くだけ書いておきます。
用意された敵の中には洗脳されたとか契約の都合とかでこちらの敵に回っていたエンブリオのひとたちも多々いるらしく、戦った中ではマーメイドとケット・シーと名乗る黒猫と契約を交わすことに成功しました。
といっても契約の仕方は様々で、こめつぶくんたちの場合は倒したエンブリオと膝を付き合わせて語り合う必要がある（こめつぶに膝はないので何かの比喩表現？）らしく、マーメイドと歌ったり、黒猫と食べられないように注意しつつひとしきり遊んだところ、契約が完了したみたいです。

明日はインコとの戦闘らしいです。
昨日の騒動のせいか、こめつぶくんたちの一部が怖がっている模様。
エンブリオ契約はしないほうがよいかもしれません。

何か言っているようではあるが、やはり意味はわからず。
ここを立ち去るべきなのか、それとも何か伝えたい事があるのだろうかと少女もまた自分の立ち位置を測りかねており、不安げに悶える男を見つめ。
……もしかしたら身悶える姿自体を見せたい変態なのだろうかと、はっ、と顔をあげた時。
袖口からぱらぱらと現れた小さな白い集団に、……今度こそ少女は固まった。

まず、声、ではなく思念波というものが初体験。
おもわず頭を抑えて周囲を見回す。米と悶えている男以外はいない。

驚いた。目をまんまるにして半歩下がって、米と男の関係性が気になって仕方ないのか、白い集団と男を交互に見やり。
でも無言というままにはいかないかと口を開く。
そもそも自分の言葉は、この白い小さな粒たち（喋る）に伝わるのだろうかと微妙に頭を痛くしながら。
片手でこめかみを抑え。もう片手は、す、と…男の方を指差し。

言葉にしたあとで、あ、と思い直す。
もしかしたら思念波同士でないと会話は不可能なのだろうかと余計な気遣いを。思念波なんて試した事はないからただ心で思うだけ、だが。

地面に置いていたトランクケースを開くと、幾つかの本が現れる。
その中で、何か力らしきものを帯びた日記帳と、和本——そこに捺された印——がある。

　
こめつぶ達の姿には気付いていないようだ。

と話したところでこめつぶ達に気付く。
瞼をしぱたかせて見間違いではないことを確認すると顔を近づける。

すぅ・・・と出てきて、カレーの入った鍋をもったまま、パタパタと周囲を見回す妖精。
女の子はちょっと鬱陶しそうにしながらも、さらっとスルーしました。

礼儀正しく手をそろえて、ぺこりと頭を下げました。

最初に言い返したときとはうってかわって、子供だということを認める発言なのが恥かしいのか。
赤面した顔をフードで隠して、そうお願いしてきました。

猫の後方に控えし鴨が抱える百合科の野菜から、呆れた空気に乗って独特の臭気が漂う。
74951回までは数えてたが、猫が跳び上がった拍子に数が解らなくなっちゃった…

猫、零落さんを無視して米粒叩きの続き再開。
獲物と会話をする趣味は無いようだ。見知らぬ人間に喋る気も無さそうだ。

アニマの暴言にエリカがしゃがみ込んで
「アニマのばかばかばかばかばかばかあほあほあほあほあほ」
と連呼しながら顔を覆っている

エリカはこめつぶさん達の前で胸をそらし仁王立ちしてどや顔した。

喋るこめつぶたちを不思議そうに見ている。
…見ている。

切れ切れの言葉は、説明とも言いがたいほど断片的なものであった。

　　　

　　　　羽織ったローブのフードを深く被り、大鎌を手にし対峙する。
　　　　　　うっすら、彼女の周りを薄い霧が漂っている様に見える。

　　　　
　　　　　張り詰めた空気が解けると、手にした大鎌は白霧となり辺りに霧散して消えた。

　　　

　　　　羽織ったローブのフードを深く被り、大鎌を手にし対峙する。
　　　　　　うっすら、彼女の周りを薄い霧が漂っている様に見える。