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【ミルフィーユの日記】

家を出て、何日経ったかしら？

まだ、そんなに経ってはいないとは思いますけれど、
家の中だけでは知らなかったことがたくさんありますわ！

モノを得るのにもオカネというものが必要だったり、宿をとるのも必要だったり。
お食事にも必要らしいですわね！

オカネ、というものは何事にも必須な物なのですのね。

家にいたころは、
従者たちに一声をかければどこからともなく調達してくれていたものですわ。

北国の甘い甘いホットチョコレート、
花咲く国の色とりどりな焼き菓子、
商業大国の滑らかな絹の織物、
細工都市の煌びやかな宝飾の数々………。

果ては妖精国のネクターの蜜、
深い深い龍神の湖の底に散らばる青真珠。
苔むした深い森の黄金の林檎、
閉ざされた極寒の雪山の、溶けない氷柱。


色んなものを、家の中で見ましたわ。

旅に出て、そういう面は不便になりましたけれど…
色んなモノに自ら触れられるのは新鮮ですわね。

いつか、この目で、この足で…
それらが実際に存在しているところを、見てみたいものですわ。


それにしましても…
周りの方々は食事や衣類はどうしていらっしゃるのかしら？

私たちは、お父様やお母様から定期的に支援が送られて来ますから、
問題はないのですけれど………。


もしや、その辺の草を食べていらっしゃるとか？



まさか、ねえ？



ああ、本当に旅って、面白いものですわ。

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【シロの日記】

めし　くった
にく　くった
にく　うまい

でも　たまねぎ　あった
たまねぎ　はづきさまの　おわんにいれた


おこられた


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行けども行けども広い広い庭が続く。

学生服の少年が、そちらを見ている。

屈託なく少女は笑って言ってから、今度はシロのほうへと向いて。

そう、笑って申し出ていた。

（犬耳の少女が差し出したそれを、同じように笑いながら受け取り、青年は身に着けた。
そのことをこのようにたったの一行で済ませることは可能だが、常人ならばそこには決して超えてはいけない壁があり、踏み越えてはいけない一線があり、たとえ同じ結末になったとしても5000文字では到底足りないような覚悟と決意を描く必要があるだろう。）

（しかし銀髪の青年のその動作に迷いはなく、また一切の躊躇もなかった。
ただそこにあるのは一人の男の意志であり、そこにいるのは一人の変態だった。）

（まるで新品のドレスを纏った少女のようにその場でくるり——とまではいかないもののポーズを取りながら、犬耳の少女と、そしてそっぽを向いて視線を塞いでる少女に声をかける。）

（その姿を見たらまず「短い」と思うだろう。たとえエプロンと言えど女物のそれは青年の膝上からかなりの高い位置にあり、それがとても嬉しくないきわどさを演出している。そして次に元の持ち主である二人は背中の局部だけが隠れていないことになっている事実に気付くだろう。
まさしく前門の虎、後門の狼（他意はない）。それをどうとるかは彼女たちの趣向次第だが、一般的な見地から言わせてもらえば年頃の乙女がこんなものを見たらお嫁にいけないどころか夢に出てくるだろう。確実に。）

おや、と振り返った金髪の少女と目が合い、何となく気まずそうに肩を竦める。

そんなに長い事見ていてしまったのだろうか、と心中で反省しつつ軽く頭を下げる。

もちろん、鎌が、である。

もちろん、鎌（ry　だが主語の抜け落ちに気付くこともなく、青年は小首を傾げる。

きょろきょろと辺りを見回していた天使の少女が貴女の持つ鎌に目を留めた。

天使の連れであろう青年が恐縮した様子でぺこりと頭を下げた。

少女は目を輝かせて、ミルフィーユの手を取り、

シロの問いに頷き、そちらに向きなおり、

長刃を振り、血を拭った。