この世界でろくな食事をとってこなかったツケか、腹の虫がうるさいと苦情をもらった。
重曹だって腹は減る。そんなことに目くじらを立てなくともいいじゃないかと思うが、パーティを組んでまだ日が浅いのに揉めるようなことになるのは得策ではない。

ということで俺は近所のラーメン屋にやってきた。
入った瞬間、濃いにんにくの臭いが漂ってくる。
俺はあまり得意ではないのだがもう選んではいられない。
俺も腹が減っているのだ。
早速味噌を1つ注文すると、昔通っていたラーメン屋より5分ほどかかって出てきた。
ぱっと見は変哲の無い味噌ラーメンだ。しかし劇臭と言っていいほどに強烈なにんにくの臭いが漂ってくる。
一口食べてみる。やはりにんにくが濃い。水でも入れて薄めるか？
いやそれはダメだろう……と少し逡巡してから、1枚だけ入ったチャーシューの上にあるものに気づく。生姜だ。
ちょっと俺には濃すぎるこいつを生姜は……たちまち楽園に変えた。
生姜を混ぜてからようやく気づくにんにくだけでない胡麻の風味。
スープの香り。
縮れた麺が底の挽肉と絡んで尚うまい。水なんて入れなくて本当に良かった。

困った時は一度場を見渡し、情報を自分の物とする。
その大切さを再確認できた気がする。やはり食事というのは、人生に通じる何かがある。そう思う。