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■１

——「血を啜る行為に甘美を感じ、取り込む行為に優越を感ずる。
吸血鬼とは生きるだけでこのように罪を誘発する」




きょうのうぃすぷさん

「……えーと、うん。それは私にはダメージを与えないのですわよね？　なんだかホーリーライトを撃つ度にネロがこっちを恨みがましい目で見てくるのですが、この技はそういう事はないのですよね？」

「……ちょっと？　遂に『………………』すら言わなくなったんですが、その」

「……え、えっ？　大丈夫なのですよね？　あの、アイコンすら出なくなったのですが、その、不安なんですが……！？」



レーネフィア記　Af.5017.2D.22,世界移動から四日目

流石に四日もすればこの世界にもそこそこ慣れて来る。
当初は外歩きにも大分苦労したが、今では足手纏いにならない程度には行軍についていけている筈だ。

余裕ができれば、自然と他の事にも意識が向くようになる。
という訳で、色々と整理をしておこうと思う。

まず、現在の顔ぶれについて。
一人目、風斬東。
私が初めて出会った一揆参加者。龍人。私を試すと言った男。
どうも気障な性格のようだ。気取ったような口調でそれも知れる。（人の事を言えた口ではないけれど）
龍の眷属だけあり、実力……特に膂力には目を見張る物がある。
契約したエンブリオと話している姿をよく目にする。あれで面倒見はいいのだろうか。
どうでもいいが、私のエンブリオもああいう話せるエンブリオがよかっ（何故かここから先が電撃で焦げ付いている）

二人目、ミラルカ・ハウダニット。
記憶喪失。同族。正体不明。
失った記憶のせいか、今は人畜無害に見えるが……匂いでわかる。
『アレは、私と同じモノだ』。生物学的な意味でなく、魂という意味で。
人格に性癖に関わらず……他人を餌食にしなければならない生き物。
……記憶が戻るのが楽しみでもあり、不安要素でもある。

三人目、ネロスフィーネ・アバド。
界渡り。私と同じで、目的は違えど一揆を支援する立場からこの世界にやって来た同族。（ミラルカは記憶喪失だし、東は人探しで、実は一揆を支援する積極的な理由はこの二人にはない）
この点で、彼女とは関係を築ける。ビジネスライクな、だが。
逆に言えば、ビジネスである限りは裏切られるような事はほぼないだろう。
そういう意味では、後ろを任せても問題はない。……彼女本人に気を払えば。

（……こんなところですか）

各々個性的ではあるが、信用はおける。
いきなり後ろから撃たれるような事はあるまい。
それは先程の兵士達との戦闘でもわかった事だった。

（打撃力と耐久力のある三人に前を任せて、私は回復と、隙を見つけたら援護射撃に専念……）

遊びのない戦術だが、それ故に安定する。
実際、兵士との戦闘では誰一人倒れずに勝利する事ができた。

（基本はこの形で問題ないですわね……たまにネロがすごい目で見て来るのが気になりますけど）

というか東に『ネロに何か恨みでもあるのか？』と聞かれてしまった。
……私が悪いのだろうか。

「ねえあなた、どう思……痛痛痛痛！？」

うぃすぷさんは大体いつもどおりです。

しゅたっ！

うっとり…。

キリッ…