星屑の小川という名の通り、王城から流れ出る水は、
天空の星々を撒き散らしたような輝きを湛えている。

水辺ではよく、美しい鉱石で作られた賽がみつかる。
これがこういう結晶体の鉱物なのか、はたまた、
水辺のエンブリオ達がこれで遊びに興じているのかは定かでない。

清浄な水に惹かれて、
自分でも異常だと思うほど果ても無く水を飲み、
アーシェの勧めで身を清めたが、
これらは存外効果があった。

声が、僅かに戻った。

卯の花腐しを頻りに見やる。様子を気にしているようだ。

先刻の共闘で卯の花腐しよりも力不足を感じていた若者は、
彼の笑う気配に思わず、顔を逸らして表情を隠した。

卯の花腐しがそうした理由は別のところにあるのだが、気付く由は無く、
これでは付き添われているのは自分のほうだ、と独白するように下唇を噛んでいる。

知っている言葉だった。分割世界を跨いで知る者の多い”ルーン”である。
地面に跪いた姿勢のまま身を乗り出して彼に尋ねたが、
逆に名を聞かれ、その居ずまいを正した。