Side-A　4日目

〜メルンテーゼ・平原〜

目の前に、漆黒の鎧を纏った兵士が現れる。
その姿を見て、ふと、この世界の危機を思い出す。

この世界がどうなろうと興味はない。
しかし、ネクターはマリスにとって素晴らしい魔力の源であった。

そう思い立ち、目の前の兵士を改めて眺める。

基本、この世界の住人はエンブリオの契約が無ければ満足に戦えない。
マリスのような例外を除き、契約そのものに友好的なエンブリオでなければ、契約すら難しい。
それは、エンブリオとの契約を破棄した者が、満足に進行を進める事が出来なかったという情報が存在することからも明らかであった。
今の段階でも絶望的なら、この先、王のもとにたどりつくのにどれほどの困難があろうか。

一応、マリス自身も契約の証としてエンブリオのレリーフを所持しているが、これは他の探索者を騙すためのレプリカである。
つまり、よほどの存在でなければ、エンブリオが無ければ戦えない、そう言うルールがこの世界では敷かれている。

兵士は見た感じは人間のようだ。つまりはさっきの論理からおそらくはエンブリオと契約をしているという事。
そうであるなら、ネクターを所持している可能性はある。
…まぁ、持っていなかったら持っていなかったらで、奪うものを奪ってしまえばいい。

少女は容姿を褒められたことがよくわかっていないようだ。

と、少女の背後から巨躯を持つ二匹の異形が割って入った。

道を歩いていると、貴方を後ろから呼び止める声がする。
その声はどうやら、すぐそこに立っている長身の女性型アンドロイドが発したもののようであった。

と、アンドロイドは落し物を差し出してくる。
これは貴方の物だろうか？ それとも、別の人の物だろうか。