野犬は強敵だった。
元の世界で見なかったものに警戒しがちではあるが、元の世界で脅威だったものはメルンテーゼでも変わらず脅威であるということを再認識させてくれた。

実験をするにも環境が整っていないと話にならないということが実感できてきたので、まずは環境整備をすることにした。
戦闘につかっていたゴレムを実験専用として、基本的に発電をさせることにした。
ゴレムが周囲の魔力を集め、物理的な回転力として出力するだけの実に単純な機構だ。
だがこれで夜通し電灯をつけていられる程度には発電ができるようになった。

マコトのスマホとやらの充電も十分できるだろう。
問題はマコト自身も充電するための端子仕様を理解していないことだが。

次は炉を整備して工具類を調達できるようにしたいところだ。

いきなり“普通の人間じゃない”と言われて、ちょっと怒っているようです。
笑顔ですけど、まだちょっと目が笑ってません。

アムルが挨拶すると、手の中のカゴから先ほどの妖精が、ひょこ、と顔を出します。

花蓮はアンダーリムの眼鏡をくいと吊り上げた。

花蓮の目は少し据わっているように思われた。

龍はため息をつくと、普段よりすこしラフに構えた。
"さっさと終わらせて酒が飲みたい"とまでは言わなかったが。